救命講習 Ⅲ
外傷応急手当
救命講習会の後半は、怪我、出血など外傷応急手当のいくつかについて実施します。その中でも必ず行う三角巾包帯法。普段あまり使う機会がないので、正しい使い方については… ついつい「忘れやすい」部類です。
三角巾による基本的な使用法をいくつか実施します。
捻挫時の固定、三角巾の畳み方。三角巾の畳み方はついつい忘れやすいのですが、基本は簡単です。
この他、代表的な骨折時の固定法は必ず行われます。固定の基本的な理屈を理解しておくと、実際の場合に役立ちます。
実は12年前、上級救命講習を受けて10日も経たないうちに、山に一緒に行った知人が足首に近い腓骨を骨折したことがありました。
突然の叫び声
それは下山中に起こりました。やや離れて先を歩いていた知人が大きな叫び声を上げました。何事だろうとすぐに駆け寄ると、道に腰を落としてうめいていました。痛がる足を少し触っただけで悲鳴を上げます。そのとき「骨折」を確信しました。
悲痛な顔で痛みを訴え、立つこと歩くことはもちろんほとんど動けない状態。ちょっとした動きにも悲鳴を上げる始末。
足首のあたりを骨折していることはわかりますが、どこの骨かはわかりません。移動させるためにもとにかく固定しなければなりません。
固定するための添え木となる道具類はなく、周辺を探したところ、杉の枝が所々に落ちていてそれを使うことにしました。杉の枝は意外と曲がっていて思ったよりも使い難いのですが、何本かの枝を利用し、所持していたシュリンゲ類を使って大腿部から登山靴までを包むように固定しました。
講習会で習ったばかりの知識が役立ち、あるていど自信をもって処置することができました。
その後、背負って下山しようと試みましたが、80kgを超える負傷者を背負い下るなどということが無茶なこととすぐ分かり、一緒にいた3人で支えながら下りました。
しかし、負傷者を介添えしながら下る山道の困難さをいやというほど味わうことになりました。担架方式でないと非常にキツイのです。
このときは、車の来れる里まで近かったため、下山してまもなく救急車に引き渡すことができましたが、通常何時間かかかるような山中ではヘリの要請が必要となります。それでも、ヘリからピックアップできるような場所までは移動しなければなりません。
いずれにせよ、いざというときに「基本的処置」と「動作」をできるようにしておくことが、傷病の悪化を防ぐという目的にとってとても大切なことと実感させられた事例でした。
傷病者管理と搬送
保温には毛布を使って包み込む方法が基本です。
背のある人を保温したり保温効果を高めるためには、2枚の毛布を用います。
毛布が1枚でも、レスキューシート(アルミックシート)を使うとかなりの保温効果が図れます。銀面が内側、金面が外側です。
上は、息はあるが反応のない(意識不明状態)の人の気道を確保して、救急車等が来るまで横向きに寝かせる方法(回復体位)です。
ちょっとした移動をするときに役立つ搬送法。一人の場合、二人の場合。
丈夫な物干し竿などの棒と毛布等で簡易な担架をつくることができますが、棒状のものがない場合で人手が多くいるときは、毛布だけで運ぶ方法もあります。
「いざというとき」役立つ救命救急講習は、何度でも反復しておきたいスキルです。
それは、家族を守り、友人知人を助け、そして苦しんだり生命の危機に直面している人々を助けるために役立ちます。
これからも時々「復習」の機会を設けていきたいと思います。
救命講習 END
実体験… 心肺蘇生 (つづき)
ようやく救急車が到着、救急隊員が近づき「どうしました」というので、「心肺停止状態だったので心肺蘇生しているところです」と伝え、その隊員にバトンタッチしました。
救急隊員は3名。一人が心臓に手を宛ててマッサージを行い(かなり簡易な感じ)、もう一人はAEDの準備を始めました。胸の右上と左脇のやや下に装着し「皆さん危ないから離れてください」。
電気ショックが1回入ります。もう一人の隊員は酸素マスクをあてがいました。
電気ショックとともに、万歳の形になっていた老人の両手が腰のあたりまで動いて戻り、上半身も少し持ちあがり、一瞬生き返ったかのように見えます。しかしその後も脈は打たず、腕も上半身もまたもとに返りました。
心拍がもどらないので、路上から救急車内に老人を移す判断が下され、担架に載せられ救急車内に運びこまれました。車内では蘇生が続けられ、そのまま病院に向かって行きました。
高年齢であること、心肺停止の原因が心筋症や脳内出血などだとすれば、心肺蘇生の作業もあまり役にはたたなかったのでは・・・ 多分、生き返らないだろう・・・ と思えてしまい、気持ちがすっきりしませんでした。
その後救急車と入れ替えにパトカー2台と警察バイクがやってきて、事件性がないか等の調査が行われ大分たってからその場を離れました。
生き返った!
帰路につく途中、川崎消防局M消防署救急隊員より電話が入りました。
「現在集中治療室ですが、先ほどの方の心臓が動いています。CPRのできる人がいたのを驚いています。そのおかげだと思います。ありがとうございました。上に報告してまた連絡いくかと思います」
(本当!?)「それはよかった!こちらこそ!ありがとうございました!」
意識が戻らなければ完全な蘇生とまで言えないまでも、自身の心臓で鼓動を打てるよになったことは確かなようです。まずは「役に立ったCPR」を嬉しく思い、ホッとしました。
このような体験はまたいつ出合うかわかりません。
一番確率の高いのは、もしかしたら私たちの家族、知人かもしれません。
そして今回、現実の心肺停止者にADEを使う様子を間近で見る経験もしました。
またいつか、心肺停止者がいたら…
今度はもう少し落着いてきちんと処置ができそう… そんな気がしています。
もちろん、レサコは常に身近に所持すべし!
あらためて思いました。
救命講習Ⅰ
一緒にいる人やすぐ近くの人が大きなケガをしたり、急病を呈した(傷病者になった)とき、いち早く救急車を呼んで医師の手当てを受けさせようとするのが普通ですが、救急車が来るまであるいは医師の手当てを受けられるまで一刻を争う場合も多々起り得ます。
その際、的確な応急手当を行えれば、傷病者の救命率を大幅にアップさせたり、病状の悪化を防ぐことが可能です。
その応急手当について、いざというときの動作や処置について学ぶ講習会が、消防関係や日赤等の団体で催されています。
私は、消防署内で行われている上級救命講習を1997年の秋に初めて受けました。本講習会による認定資格は3年間なので、3年以内に再講習を受けないと資格切れとなってしまいます。
ところが、ついつい忘れ… 気がつけば資格切れ、ということを何度かやってしまい、今回も再講習ではない「仕切り直し」講習を受けることになりました。
ただ… この講習会とは別に、山岳団体の企画した訓練会やその他でも似たような講習を受ける機会があり、できるだけ復習することが「いざという時」に役立つものですから、上級救命講習はもちろんのこと、この手のものは「何度受けても良いもの」という認識を持つようにと、自分には言い聞かせています。
CPRとAED
CPRは心肺蘇生(人工呼吸と胸骨圧迫による心臓マッサージ)、AEDは最近公共の場所のあちらこちらで設置が目に付く不整脈心臓を正常に戻す電気ショック装置「自動対外式除細動器」のことですが、今回受けた講習ではこれらの実習が全体の半分近くを占めました。
以前受けた上級ではまだAEDを使用していませんでしたが、今では当たり前の処置になっています。
通常の心肺蘇生を一通り行ったあとに、AEDの使い方を学びます。
救急現場をシュミレーションしながら、CPRとAEDによる手当てを行う訓練を続けます。
一通りの講習終えたあと、実習テストが行われました。
小児(1歳以上8歳未満)と乳児(1歳未満)のCPRも行いました。上は乳児に対する訓練です。
今回の受講者は30名ほどで、さらに若い方が多く心強く感じました。
CPR技術をいくらしっかり持っていても、周りにできる人がいなければ「自分のとき」には役立ちません。普段から身の回りにこのような訓練を受けた方が多くてくれれば、お互いに安心し合えるでしょう。
突然訪れたバイスタンダー体験
実は、いまから3年前の4月、たまたま出向いていた川崎市内の住宅地近くの路上に、老人の男性が倒れていて、「どうするべきか」一瞬迷い悩んだ末、心肺蘇生を行う経験をしたことがありました。
実際の場面に遭遇したとき、果たして心肺蘇生はできるのか、そしてそれはどんなものか… そのときのメモや記憶をもとに以下に概要を綴ってみたいと思います。
遭遇した老人は、仰向けに目を開けたまま倒れていて、その姿は一見して普通ではありませんでした。
近くにいた人に状況を聞くと… 「警察に連絡しました」と。「え?、警察じゃないだろう… 」と心の中でつぶやき、「すぐ救急車を呼んでください!」と伝えました。が… 「警察から連絡しているはずです」と…。さらに、周囲にいた何人かの人から、「触れないほうがいいよ」と言われます。
もしかしたら… これが多くの一般の人の反応(関わらない方が良いという)なのかも知れません。
しかし、見過ごすわけにはいかず、気持ちの迷いを振り切って意を決し、「聞こえますか!」と大きな声をかけました。全く反応せず、ビクともしません。
首に手を当て、呼吸の有無を調べてみましたが微動だにしません。その老人は自転車に乗っていて急にそのまま倒れたような感じに見えました。顔面はやや紅潮し口は半開き、開けたままの目は瞬きしません。
胸に手を当ててみましたがまるで人形のようです。
「これは心肺蘇生、心肺蘇生が必要だ」と自分に唱えながら、所持していたレサコを出してその老人の口元に置きました。
老人のベルトを外し、シャツのボタンをとり、胸元を探って・・・。しかしこのときの「他人の衣服を剥ぐ」という初めての動作にも抵抗を感じます。
「やるしかない」と自分に言い聞かせ、息を吹き入れました。ところが、なぜか鼻汁が逆流するような気持ち悪い音がしていました。
生身の人に対する初めての心臓マッサージ開始。声に出さず「イチ、ニィ、サン・・・」と数えそしてまた息を吹き入れ・・・続けます。
周囲の人は何をしていたかわかりませんが、小学生2~3人が私のやっているそばで見ていました。
何度か繰り返すうちに鼻からブクブク噴出す音が、焦って鼻を押さえていなかったことと気付き、本来の形に戻しました。そして、再び心臓マッサージと人工呼吸を繰り返しました。
顔色は紅潮~やや暗赤色、耳はやや紫色、胸~腹は普通の肌色をしていました。心肺蘇生しながら、色の回復を願い「甦ってくれ!」という気持が強くなっていきました。
「救急車がくるまで止めないで続けなければ・・・」と続けながら、顔面からは汗が滴り、目に入ってしみます。延々と長く感じます。
しかも、レサコが簡易なものだったため、口から外れてふさがったり口の横に動いたりして、まともに空気が送れなくなったりもしました。
「クソ~!」と思いながら、口元に差し直してはまた息を吹き入れました。
「救急車遅いなぁ・・・」と、そばの子供に愚痴を漏らしながら心肺蘇生を続けました。
ずいぶんと長く感じた頃、ようやくサイレンの音が聞こえてきて少し気が楽になりました。
とは言え、マッサージ動作をやめるわけにはいきません。
一人で行う心肺蘇生… それはとてもきつく… 疲れます。
この続きはこの次に。
若きゴールデン姫も!
雪中訓練でも「やる気」と「負けん気」を見せてくれた、まだ1歳半になっていない若きゴールデン姫も、二重構造の隠れ家捜索に挑戦。
まずは、「要所要所」というイメージで指示しましたが…

勢いよく発進したとたん… カメラを構える私の姿にか私の臭いにか、突進してきました。
こんなときは、何もせずに「無視」。ハンドラーに呼ばれて仕切り直し。

仕切り直して再び発進。まだまだ丁寧なチェックはできませんが、少しずつ「意識」はできつつあります。

擬似家屋からの臭いを感じ取り… 接近。

しばらく擬似家屋周辺を探っていましたが、「臭いにピン!」ときかたのように、そして大きなBOXに向かうかのようにしっかりアラートし始めました。

ところが… 吠えても、BOXのような反応(ヘルパーからの)がないせいか、一時「鎮座」。
ハンドラーがドアを開けてやり、臭いのこもる室内へ入れてやりました。

室内捜索を何度かやっていたため、比較的短時間に隠れ役を発見。
元気よく、跳びながらアラートしてくれました。
多くの経験を積み重ね続ける若きゴールデン姫、これからが楽しみです。
二重構造の隠れ家捜索
比較的広いエリアの中から、隠れ役の潜んでいる(臭いの出ている)所を探し出す訓練はよく行われますが、私は「見逃し」を防ぐために、瓦礫捜索の場合は、要所要所の限られたエリアで鼻を使わせるような訓練を進めるようにしています。
すなわち、浮遊してくる臭いをとらえて犬が行動する嗅覚優先(犬の行動任せ)にしないで、たとえ臭いを感じていると分かっていても、そちらにあえて行かさず、指示した要所をチェック(鼻を近づけて無い臭いをとらせる)させるようにします。そして、最終的に隠れ役が潜んでいる場所へ移動させます。
今回は、最終エリアの隠れ場所が二重構造になっている設定で行いました。

隠れ役のいる箇所(隠れ家)から離れた風下の中で、指示したチェックエリア(狭い範囲)のいくつかに向かわせ、その周辺を「嗅がさせて」、また違う狭いエリア周辺を「嗅がさせる」ということを行いながら、次第に隠れ家に近づいて行きます。

途中、隠れ家から少し離れた別の建物周辺をチェックさせますが、この辺りまでくると風上からの臭いを感じていることが分かります。それでも、すぐにその方向には行かさず、屋根の上を探すよう指示し、できるだけ周辺の臭いをとらせるように促します。

その後は、臭いを感じている方向に行かせ、自主的な行動に委ねます。弱い風が右から左に流れていますが、隙間の多い家屋で、周辺の障害物等の影響も加わり、断片的と思われますが風下側以外からも臭いが出ているため、周囲を慌しく探り続けました。

一通り廻ったあと、一番臭いが強く出ていると思われる周辺(風下側)で、確信を得たかのようにアラートし始めました。

ある程度長く、しっかり吠え続けさせたあと、ドアを開けて中へ入れてやります。
擬似家屋の中には、別の隠れ場所があり、室内捜索に近い状況の中で発臭源を探り当てさせます。
しかし… チャンスの場合は、アラートだけでなく、勢い余って登ってしまうことも…。
捜索基礎訓練の一つにBOX捜索がありますが、今回行ったのは、明確に人の臭いが出ていると「分かっているBOX」に意識を集中させ、「反応を早く」そして「咆哮の持続」を強化するものです。
臭いを「とった」とき、そして「意識をそこに」集中させるため、さらに「長く吠え続けさせる」ために、ヘルパーから見えない犬の動きを、外から見ている者が観察しながら「犬をBOXに集中」させます。
もちろんそのために… ちょっとしたアイデアが必要になりますが…。


ラブの反応。臭いをとり、BOXに鼻をつけたくらいにすぐ反応させるように導きます。
他に気が行ったり、集中力が切れそうになったら… 臭いの出の多い扉付近に意識が向くようにさせます。

13歳の超ベテランお婆ちゃん犬も楽しく頑張っています。

捜索作業もかなりよくなってきたスタンプーですが、こうした基礎訓練は大切です。

他に気をとられることがあっても、バークBOX的な工夫で意欲的に集中させることができます。

吠えざるを得ない「雰囲気」を与えられれば… 吠え続けるしかありません。

Gシェパードによく見られる動作に、臭い箇所を特定してからハンドラーの顔を窺ったり指示を待とうとする場面があります。これらを無くすためにも、この訓練は役立ちそうです。
チャンスの様子。


バークボックス風訓練のキッカケは…
チャンスの反応(発見→咆哮)が、いまいち遅かったためでした。
反応の遅いのを、慎重な行動と考えてしまうのはよくないと反省し、明らかに「人が居て」そこから臭いが出ていると「わかっている」場で、すぐに反応させるようにするために、基本に戻って行おうと考えた強化訓練です。
バークボックスという訓練用BOXは昔からありましたが、普段使っているBOXをちょっと工夫することで、代用することにしました。
もちろん! 他の犬たちにの基本強化になる訓練ですので、今後も続けて行きたいと思います。
捜索犬 普段の訓練再び その1
先日久々に捜索犬基礎訓練を行いました。
私とチャンスが久しぶりであって、他の犬たちの多くは既に始めていましたが…。
瓦礫場での基本訓練
瓦礫といっても、訓練用にコンクリートガラを積み上げたところで、山で言えばゴーロやガレ場といったもので特段不安定な足場はありません。それでも、慣れていない犬や、足場不安定が苦手な犬にとっては「いやな場所」で、それを「難なく」移動できるようにしなければ捜索犬として活動することはできません。
以前お話したとおり、幼犬の頃から「当たり前」に慣れさせておけば、足場に強い犬にすることができますが… 「飼い主が苦手」という場合が一番問題となる訓練とも言えます。
さまざまな犬とともに
以下の写真は、飼い主(ハンドラー)は瓦礫に入らず、犬だけ登らせ、瓦礫の一角に潜んだ隠れ役(要救助者)の臭いを探し、発見咆哮させる訓練の様子です。
ラブラドール・レトリバー
臭いを捉えてその臭いに近づくためには、歩きにくい場所を移動しなければなりません。時には脚を深い穴に捉えられることも…。
臭いは風の向きと障害物で移動の仕方が変わります。手前からゆるく吹き付ける風は、潜んでいる場所から臭いを瓦礫上に向かわせます。この状況のとき、移動能力の高い犬は上から下に向かって吠える動作が多くなります。
ジャーマン・シェパード
Gシェパードは悪い足場があまり得意ではありませんが、この程度の場所では、臭いを求めて問題なく移動し、咆哮してくれます。
やはり… シルエット的にも「かっこいい」のが Gシェパードならではです。
ミニチュア・ダックスフント
愛玩的に飼われているMダックスは、もともと狩の手伝いをする作業犬として作られています。捜索犬として訓練されたMダックスは、経験を重ねるに従い「良い仕事」をこなしてくれます。小型&短足という瓦礫移動に不利な体型にもかかわらず、臭いを求めて果敢に動いてくれます。
イングリッシュ・コッカー・スパニエル
コッカースパニエルも猟鳥回収という作業犬としてつくらてた歴史をもち、捜索犬としての作業を覚えれば意欲的に探し回って、行方不明者役を見つけてくれます。
ただ… 長い毛がいろいろなものを引っ掛けてしまうことが、作業の障害になり得ます。
スタンダード・プードル
お洒落で都会的なイメージの強いスタンプーも、もともとは狩の手伝い犬(水中作業)で、捜索作業を明るく!楽しそうにやってくれます。上記の犬は、瓦礫が苦手でしたが、瓦礫の中でもいい作業ができるようになりました。瓦礫に似合うかどうかは別ですが…。
ゴールデン・レトリバー
時々訓練を共に行うGレトリバーの中の年長犬。年とともに良い作業をしてくれるようになりました。
チャンスよりも3ヶ月年長で、おっとりしたタイプのゴールデンですが、ムダのない確実な仕事をするようになりました。
相変わらず動きの激しいチャンスは… 足場の良い悪いを「あまり考えず」に移動する感じがあって、もう少し「頭を使った慎重さ」が欲しいところです。
雪中捜索に目覚めた若いゴールデン、不安定足場がまだやや苦手ですが、この程度の瓦礫なら「へっちゃら!」といった感じです。
この訓練では、足場の悪い中でも「臭いの出どころ(発臭源)」を求めて探し、発見させ、安定した咆哮が続けられるようにするものです。
そして…
①臭いの出どころに「出来るだけ近づく」こと
②近づく方法をできるだけ「犬自身に考えさせる」こと
③接近~発見咆哮という動作に「自信をつけさせる」こと
これらが今回、そしてこれからを含めての基礎強化訓練の一つです。
1995年1月17日、日本人が初めて体験する現代都市直下型地震(兵庫県南部地震 M7.2 最大震度7)が起こり、都市災害としては未曾有の災害を招いた阪神淡路大震災からまる14年が経ちました。
その後日本で震度6を超える地震は、新潟中越地震(2004年10月23日)、福岡沖地震(2005年3月21日)、宮城県沖地震(同年8月16日)、能登半島地震(2007年3月25日)、新潟中越沖地震(同年7月16日)、そして昨年の岩手・宮城内陸地震(6月14日)と岩手県中部地震(7月24日)と起こり大きな被害を出しています。
しかし… これらの地震(宮城県沖を震源とするものを除き)は、「いつ来てもおかしくない」と言われている東海地震(巨大地震)や関東南部(特に東京湾北部)の直下型地震とは異なり、「近い将来」という予測がされていなかったものばかりです。
そして幸いにも、阪神淡路のときのような同時多発被災、同時多発行方不明者という状況にはなっていません。
しかし、来るべき地震は… 阪神淡路大震災を超える被災の恐れが高いのです。
いずれにしても… これから近い将来必ず訪れる大きな地震を前提に備えていくしかありません。
阪神淡路大震災から学ぶ
都市型地震災害の非常に多くのことが阪神淡路大震災の教訓から学ぶことができます。
災害救助犬と呼ばれる瓦礫捜索犬の存在が知られ、その活用が叫ばれるようになったのも阪神淡路の震災以降からでした。
欧米に比べて20年も遅れていると言われていた「犬を使った捜索」も、今ではかなり当たり前に使えるよう、多くの人々が関わり「いざというときに備えた」犬を育てています。
だがしかし… 犬との活動の基本は「災害ボランティア」の延長と私は考えています。
組織だった連携も必要ですが、災害の同時多発地帯で組織的活動が難しくなり得ます。地元や他のボランティアとともに協働できる融通の利く活動、臨機応変な活動など、自主的な判断が必要となる場が多くなると思われるからです。
そしてそれぞれの現場で、そこに居合わせた方々と互いに協力しあいながら「最善を尽くす」ことが一番大切なことだと思っています。
阪神淡路大震災で実際にあった種々の現場の状況を思い起こし、「もしあの現場を前にしたらどれだけのことができるか」を自問しながら、あらゆる状況下でも活動できるように今後も訓練を重ねて行きたいと思います。
そしてもしかしたら… 活動する場は自分の住んでいる町の中かもしれません。
もちろん、自分と自分の犬が怪我もなく生きていたらの話です・・・。
雪崩の危険増加! 3連休の雪山要注意
すでに天気予報、情報等で伝えられているように、今日(10日)から強い冬型とともに上空に寒気が押し寄せ、日本海側を中心に大雪になることが伝えられています。
一度にたくさんの雪が積もれば、それだけで雪崩れやすくなりますが、ここしばらく続いた緩んだ冬型は雪山に陽の光を与え、既に積もっている雪質を変化させていることでしょう。
昨日の低気圧性の雪に加え、今日(9日)から降り続く多量の雪は雪崩る条件を増していきます。
3連休という悪条件が「雪崩」を誘発?
3連休という格好の日程に、登山、山スキー、スノーボードとたくさんの人が雪山に入る計画をしていると思います。その連休がアダとなる「悪条件」になるかも知れません。
どんなに天気が悪くても、どんなに雪が積もっても、そこに人が入らなければ雪崩事故は起こりません。雪崩事故は、雪崩れる条件が整っているときに、人がそこに入るために起こるからです。
大雪が降り続くと分かっている山には入らないことが一番です。
どうしても入りたければ、地勢的にも植生的にも安全なルートを選び、危険箇所を徹底的に避ければ、雪崩を回避できるかもしれませんが…。
いずれにしても、日本海からの直接的雪雲の影響を受けるような山にこの連休入ることは避けた方が無難だと思うのです。
この冬一番?の寒気到来
このブログを書いているときに9日夜9時の高層天気図が間に合わなかったので、9日午前9時の高層天気図(上空約5500m付近と約3000m付近のもの)を示します。
強い寒気が日本に接近中であることがわかります。
そして、今日の午前9時の予想天気図(地上)は…
強い冬型になり、9日9時の高層天気図に示された寒気が日本を覆い始めます。
大雪降り続く山岳地帯への入山を控え、悪天による遭難や雪崩事故発生のないことを願っています。
天気図資料は気象庁より
雪崩事故を防ぐための講習を!
『人は皆「自分だけは死なない」と思っている』 (山村武彦著/宝島社)の中に、行楽地で人の危険本能が鈍る理由として、楽観的無防備と集団的依存状態という言葉を使って説明しています。
楽観的無防備とは、自分にとって望ましいことが起こる確率は高く、望ましくないことが起こる確率は低いと考えてしまうこと。
集団的依存状態とは、集団思考に依存した状態と述べています。
実は、雪山の世界でも・・・
「雪崩れる危険がある」との認識は持っていても、登山者やスキーヤーが「何年も雪山を経験しているので大丈夫」「今まで起こったことがない」等々の「過去の経験」にこだわったり、「××なので雪崩は起こりにくい」といった誤った知識や理由で判断したり、「(トレースがついていて)皆が通っているから安心」「雪崩が怖くて登れるか」等々の心理的な判断で行動してしまう例が意外と多く存在しています。
ちょうど、楽観的無防備や集団的依存状態の心理が働きやすい場とも言えます。
しかし! これらの問題を解決し雪崩事故を回避する方法があります。
そのためには!
雪崩を引き起こす自然現象のメカニズムを理解し、雪崩事故の実態や実例を教訓として学び、雪崩についての正しい知識を身につけ、雪山という現場で適切な意思決定を行えるように心身ともに訓練する講習を受けることです。
雪崩事故という現実に直面し、悲惨な「死」を招かないよう…
多くの雪山愛好者に受講してほしいと願っています。
主催は日本勤労者山岳連盟 中央登山学校ですが、所属の有無に関係なく、雪山を愛する方誰でも参加できます。
申込み・・・ まだ十分間に合います。お気軽にお問い合わせください。
フリーダイヤル 0120-44-2742
訓練を終えて
雪中訓練を終えたあと、レストハウスでゆっくり休んでから下れるのがここ天神平の良さです。

レストハウスへ移動。その昔、写真正面の建物はなく、右につながっている古い建物がレストハウス及び簡易宿泊施設になっていました。ロープウェイ駅から雪上を歩かなければなりませんでした。

犬たちは、スキーやボードのお客さんの迷惑にならないように、ハウスの脇で待っていてもらいます。

暖かいものを飲んだりして一休み。窓の外は冬空に変わりつつある風景。

再びゴンドラに乗り下ります。ゴンドラのドアは進むにつれて自動的に閉まります。

犬たちも満足して、朝よりも落着いています。

3年ほど前に現在の新しいロープウェイ駅ができ、駐車場の建物とつながり、ゴンドラ乗り場との間に長い回廊ができました。

フロントや切符売り場、お土産屋のある6階(上の地上)から下の階(1~5)が全て駐車場になっていますが、移動はエレベーターを使うため、ゴンドラ乗車とともに犬たちの自然な馴致訓練に役立ちます。
駐車場で着替え(別に着替え室もあります)、帰途につきました。
雪中捜索訓練 谷川岳 END
谷川岳雪中捜索訓練と年末年始の空模様
年末の29日と30日に行った谷川岳雪中捜索訓練は、28日までの悪天が去り、ちょうど冬型が緩んだ晴天と次の冬型が強まる前の2日間に行われました。
訓練としては恵まれた条件でした。
昨年の12月は、下旬になるまであまり強い寒気が南下せず、雪不足の様相を呈していましたが、26~28日に強い寒気の南下と冬型の気圧配置で、一気に雪が降り積もるという結果を生みました。
この悪天下、山の遭難事故がいくつか発生しています。→相次ぐ山岳事故
昨年末も、急激な天候悪化と大雪による雪崩発生で、北アルプス槍平で死者が出ています。→槍平で雪崩
上空の寒気も去り、冬型が緩んだ29日は穏やかな晴天、30日は次の悪天(冬型)への前兆の暖気~温度低下で、曇天(小雨)から小雪(時々薄日)になりました。
そして、31日から正月の3日にかけて再び強い寒気とともに冬型が強まり、大雪をもたらしました。
29日と30日の天気図(地上)では冬型がゆるんでいること、また徐々に冬型に戻りそうな様子を見ることができます。
谷川岳一帯が晴天に覆われた29日の地上天気図 上図左29日9時、右同15時
朝は小雨、後曇天~小雪となった30日の地上天気図 上図左30日9時、右同15時 (気象庁資料より)
地上天気図は地上(海面)での気圧配置を示しているので、地上での天気の変化(流れ)や吹く風の向き、強さなどをある程度読むことができますが、上空の様子は高層天気図などを見ないとわかりません。
雪はいつどのくらい降ったか
冬型が強まるときは上空の寒気を伴うことが一般的です。年末年始の大雪が、上空の寒気とともに降ったことが、気象庁から発表されている高層天気図とアメダスのデータから読み取ることができました。
ただし、肝心な山そのものでの観測がされることはほとんどないため、まずアメダスで観測データのある谷川岳(1963m)周辺で、何時どの程度の雪が降ったのかを調べてみました。
新潟県と群馬県の観測地点は下図のようになっています。 (気象庁HPより)
ちょうど、谷川岳からみて日本海側(大雪を降らす雲がやってくる)北西側の湯沢(340m)と、山を越えて関東平野に続く南東側のみなかみ(水上)(531m)にアメダス観測点があるので、そこでの降水量(降雪の場合は溶かした水量で測る)と積雪及び気温をグラフにしてみました。
湯沢、みなかみの観測データのグラフから、12月26日から大雪となり、そのご断続的に28日まで降り続いたことが見て取れます。
そして、雪中訓練に入った29日が晴れ、30日の小雪から31日~1月3日の大雪へと流れたことがわかりました。
湯沢と水上の間にある谷川岳など、上越国境の山々での実際の降雪はこれよりもずっと多く、そして天神平付近で行った雪中訓練場所のまだ十分にしまっていない積雪がそれを物語っていました。
大雪のときは、気象衛星の画像によく現れるように、日本海から次々と雪雲が押し寄せ、それが山にぶつかると大量の雪を降らせます。その状況は、湯沢~谷川岳~水上の標高変化を見るとイメージとして感じることができます。
大雪は寒気とともに
実際に観測された湯沢とみなかみでの降雪と積雪の変化から、その間の山での大雪の様子が想像できましたが、その結果が上空の寒気に伴って起こっていること下のグラフからよくわかります。
上図は、高層天気図から読み取った上空の気温の変化と実際の天気の模様を示したものです。
このグラフは、30日の天気が冬型になる前兆だったことも表しています。
30日は冬型が強まる前触れの天気
30日、土合付近では朝一時雨が降りました。9時を過ぎて雨は上がりましたが、通常氷点下が当たり前の朝の気温が+で寒さもいまいち。
上空に暖気が入っているため、谷川岳(1963m)より少し低い上空 1,500m付近の気温が0℃でした。天神平(1,300~1400m)でも雪になるかみぞれになるか、といった状態です。
気圧配置が冬型になる前に気温が上昇していき、そして気温の下降とともに冬型が強まっていきますが、上空の気温変化はそれを裏付けてくれています。
30日朝9時と、午後3時の上空約 3,000m及び約 1,500mの気圧と気温を表す高層天気図をみると、前記した地上天気図ではわからない「寒気」が西から近づきつつあることがわかります。
この寒気の強さ(気温の低さ)で、また南下具合で今後強い冬型になり、そして大雪になるかがわかります。
果たして、31日から正月にかけて、日本海側の山を中心に大雪に見舞われました。
雪中捜索訓練 谷川岳 その5
強い冬型になる前の雪中訓練
穏やかな晴天に恵まれた29日にくらべ、30日は山にガスがかかっていました。午前8時頃、土合付近は小雨がパラつき、雪中訓練にとってちょっと「イヤ~」な空模様。
幸い9時を過ぎて雨は上がりましたが、通常氷点下の気温は+で寒さもいまいち。冬型が緩んだ昨日から、上空に暖気が入っているようですが、再び冬型が強まる前ぶれの天気になっていました。
早朝に東京を経った2名が新たに合流しましたが、東京の天気は晴れのようです。
朝の駐車場にて
ロープウェイ乗り場にて。初乗りの若いゴールデン以外は皆さん経験犬ですが…。
写真では落着いて見えますが… ゴンドラの中は興奮状態。多数犬の乗合いは、相変わらずてこずります。
いつもの訓練エリアまで移動。26日から28日にかけてまとまった雪が降り、深い所では2mくらいありました。
積雪の安定性を確認するために「円柱テスト」を行ってみましたが、雪面から70cm以上均質に近いこしまり雪で弱層は見当たらず、この雪がドカ雪的に降り、その後の比較的高めの気温でしまりつつあることを感じさせました。
雪は全体的にまだやわらかく、つぼ足で歩くのに苦労しますが、深いところを選びながら移動し、3箇所に穴を掘り、2番目、3番目は雪洞にしました。
霧雨のような細かい雪はカメラの大敵。気温が高めなために、サラサラとはいかず、レンズを曇らせ、怖い「濡れ」を起こさせます。
雪洞に隠れるため移動するヘルパーへ… 「どこ行くの~」。
雪中訓練2日目の若いゴールデン、今日も意欲満々。ラッセルなどもうお手のもの。
しかし・・・ 深く急な雪に動きがとれなくなることも。
気温が高めの湿雪は、毛足の長い犬に「雪のボンボン」飾りをたくさんくっつけます。
深い穴に入った遭難者役を発見。 しかし… 深すぎて、別の道を考えないとたどり着けません。
黒ラブの捜索。たいていの犬は、トレースのついた歩きやすい場所を移動します。
しかし、臭いを感じれば、「道」とは関係なく移動するのが普通です。
深い穴に入り込んで、遭難者役に咆哮する黒ラブ。この雪洞は大人3人くらい入れる「立派」なもので、隠れ役の居心地抜群!です。
このあと、別のヘルパー(遭難者役)に入ってもらい、雪のブロックで埋め、完全埋没状態での捜索訓練を行いました。
今日のチャンスは、ハンドラーが穴掘りと撮影に忙しく、出番は最後の埋没捜索まで「お休み」です。
犬に楽しく面白い訓練、まだまだやりたいけれど… 午後3時前に終了。
ゲレンデには夕日が差していましたが、冬らしい空模様に変わりつつありました。
雪中捜索訓練 谷川岳 その4
29日の訓練 後半(2)
29日の捜索の終盤は完全埋没状態の遭難者役(ヘルパー)を探させる訓練を行いました。
その一回目はやや隙間のある設定、二回目は少し厚めの雪で覆い臭いの出が少ない設定で行いました。
1歳2ヶ月のゴールデンは雪中捜索が初めてとは思えないほど、夢中になって探す行動をしてくれました。雪は犬に「素直な力」を与えてくれるようです。
臭いを捉える方向や位置はだいたい同じですが、雪の状態によって犬の辿り方はいろいろです。
また、雪中からの臭いを感じると、ほとんどの犬が掘る動作をします。雪という掘りやすい物性、掘れば掘るほど臭いが強まる状態が、犬の本能的動作を目覚めさせるようです。
訓練では、堀り出し、咆哮するという一連の動作の結果、そこから褒美等がもらえる設定が多いので、さらのその動作は強化されていきます。
チャンスの場合も同様に、雪中からの臭いが特定できるようになると、まず掘る動作を始めます。
掘る動作で「すぐに見つかる」ことはない雪中捜索訓練では、咆哮が始まりますが、そこで「発見!」などとして褒めて止めさせない限り、掘り続け、そして穴の中に潜るようにして吠えます。
しかし、穴の中に頭をつっこんで吠えても、ハンドラーなど外にいる人にはほとんど聞こえなくなってしまいます。視界の利かない場では、吠えたら早めに犬の近くに行かないと、探せるものも探せない・・・ なんてことにもなりかねません。
実践的な訓練では、あまり念入りに顔を突っ込ませる必要はなさそうです。
最後のやや厚い積雪に覆われた深い穴の中の捜索では、雪面に出る遭難者役の臭いは薄くなり、雪上を漂う浮遊臭も少なくなるため、雪面近くを探るように鼻を使わないと見逃す可能性が出てきます。
初体験の若いゴールデンにとってはちょっと難しい設定でした。
すぐには臭いを捉えられないため「???」といった行動や、関係のない臭いを気にしたりと、しばし無駄な行動をしてしまいますが、行動するエリアを狭めて臭いを見つけやすくして発見に導くことができます。
雪慣れた黒ラブの捜索~発見。
臭いを感じて、すぐに吠え出す犬もいれば、掘りつつ吠える犬もいます。
犬の行動を見られる条件下にあれば、一生懸命掘ろうとする姿は「遭難者発見!」という「確信」をハンドラーとして得ることができるように思います。
「お疲れ様でした!」 ・・・遭難者役、無事に脱出。
29日の訓練終了。
雪中捜索訓練 谷川岳 その3
29日の訓練 後半(1)
若いゴールデンのあとに続いて、4頭の黒ラブに順次「ヘルパーの見える雪洞」からの臭い(浮遊臭)を探させ、発見咆哮させました。
咆哮持続のための僅かな刺激と無視、そして…撮影。
それぞれの犬の個性と表情が変わります。
臭いを探し、辿りつくと明らかに人(ヘルパー)の姿の見える穴による訓練を終えた次は?
犬から姿の完全に見えない雪洞に入り込み、雪のブロックをかぶせて、穴をふさぎ、ヘルパーは雪中埋没者役になります。
最後の穴をふさぎ、デブリのようにブロックを散乱させました。
あまり厚い雪をかぶせていないので、臭いはしっかりと雪面に出てきます。
雪中埋没者の捜索はこのあとに。
雪中捜索訓練 谷川岳 その2
12月29日の訓練 前半
雪中訓練は、犬にとって大変楽しい訓練です。
天気が良いので天神平に上がることも考えましたが、27~28日に降り積もった雪がたっぷりあったため、下の林道周辺で時間いっぱい訓練することにしました。
今日の訓練場所は見事に吹きだまってくれた林道上積雪地帯です。短い距離ですが、そこまで移動するのにちょっとしたラッセルを強いられました。
待機場所付近で初めての雪に興奮する若きゴールデン(1歳2ヶ月)と雪慣れた黒ラブたち。
以前何度か紹介した「熱い鉄」も、かなりの「探しもの」ができるようになりました。
穴掘りを覗くチャンスと近くで待つ(?)チャンス。
波打つように吹きだまった積雪は、場所によっては2m以上になっていました。
待機場所に近いところから順次隠れ場所をつくっていきます。一番近い雪の山陰(待機場所から見て)には簡易な穴、二番目の雪の山陰にはそれより深く、周りをブロックで囲み、最終段階の隠れ穴は完全な雪洞にして、穴を塞ぎます。
このように、訓練を進める過程で、徐々に遠く、また深くしていくという設定がうまくできる恵まれた場所になっていました。
初期の意識付けを行ったあと、穴に潜んだ人の臭いをとらえて辿りつくと「ヘルパーの姿が見える」という設定の訓練を行いました。
穴から浮遊する臭いを感じて、その場所を探します。臭いの出ている場所へ近づくためにはどうしたらよいか・・・ 犬が考えます。