3月22日に町田市内の丘陵地を使った捜索犬(救助犬)の認定試験があり、馴染みの犬達が受けるとのことで応援を兼ねて行ってきました。

イングシッシュコッカスパニエルの捜索模様。高鼻よりも下鼻を使うクセがありましたが、広い範囲の捜索ができるようになりました。

スタンダードプードルは「捜索作業」のイメージにはどうも…似合いませんが、その意識が高まれば、「意欲的」かつ「楽しそうに!」捜索をやってくれる犬であることは確かです。

警戒競技をやっていたジャーマンシェパードも、その「方向」を変えれば「捜索作業犬」に変身させることができます。
しかし、「規定課目」的な訓練から「犬の自主作業」中心の捜索行動に変えるためにはそれなりの時間と、意識を切り替えた訓練が必要です。
その「踏ん切り」さえつけば… 優秀な作業につなげることができます。

警戒競技をやっていないジャーマンシェパードであっても、眠れる「捜索本能」が目覚めれば捜索能力を発揮してくれます。
しかし… 試験という「特殊な雰囲気」で、ハンドラーが緊張、動揺等すると… それは犬たちにそのまま伝わるようで… 「できることが出来ない」「いつもと違う行動」ということにも。

犬はハンドラーの顔をけっこう頻繁に見ています。しかし、ハンドラーはその視線を「気付かず」に過ごしていることが多々あります。
このへんの「意思疎通」がもっとうまくできたらとよく思うのですが… 実際自分がその立場になると… 何故かそれがうまくできなくなってしまうのです。

遭難者役を見つけて(アラートして)、戻ってきたときの犬は嬉しそうです。
実は、それ以上に!ハンドラーの方が嬉しいのかも知れません。

見つけた…ようですが… 吠える声が響いてこないときは不安に駆られます。吠えて、吠え続けてくれれば「発見!」として申告し、試験得点に加算されます。
ときには、沼地や窪状のところで「寄り道」して泥だらけになることも…。
チャンス!
チャンスは、もの心ついたころから「足場慣れ」を当たり前のようにやっていて(鉄は熱いうちに打て)、さらに山や解体瓦礫で何度も強化しているので、よほどのものでない限り「やってのける技」を獲得してくれました。
そのせいか… やらなくてよい「場」まで、得意げにやるヘンなクセがついてしまいました。
危なっかしい場でも強引に登ったり、潜り込もうとしたり…。ヤバイ場合も出てきます。
しかし、その「危険」についてどこで線を引くか…、最終的には「動物としての犬」の本能と感に任せるしかないと考えています。

まずは、臭いの「出(発臭源)」を特定してアラート。瞬間的に「おもしろい表情」をつくるアラート中の顔。

発臭源の中(ヘルパーのいる所)に潜り込もうとするチャンスの場合、しっかりバリケードしておく必要があります。「入れない」条件下、吠えるしかありません。

チャンスの場合、普段のヘルパー(生体)捜索でのご褒美は麻布ですが、このところのご褒美(獲物の代用品)は… Σシュードの入ったチューブです。
それには訳が…。
近々また山の捜索(遺体)をする予定があるため、「目的の臭い意識」を多少持たせるために遺体臭Σシュードの入ったチューブにしています。
もちろん、Σシュードチューブだけを隠して探させること行います。
瓦礫上からの捜索
瓦礫の下から登り、山を越した先に隠れたヘルパーを探す訓練は、足場の悪い中、感じる臭いを求めて自主的に探す意識を高めます。
向かって左(西)側からかなり強い風が吹いているため、臭いは乱流を起こす気流によって分断されたり拡散しているはずですが、犬はそういった条件でもいとも簡単に見出し、発臭源にたどり着く能力を備えています。

特定してアラート(告知)しても、犬がすぐ近くまで行かないとご褒美はもらえません。

いろいろな障害物や不安定な足場の中を、人為的な誘導なしに、できるだけ犬自身に考えさせ、移動させるようにします。

Gシェパードが良い作業を行うときは、やはり… 見た目まで「サマ」になります。

瓦礫下から移動しながら、濃淡断片的に飛び交う浮遊臭をとらえ、風上の一角に潜むヘルパーの臭いを特定。

瓦礫移動が不利なMダックスも、経験と意欲があればかなりの障害も克服して移動することができます。

そして、「できるだけ近く」という意識が強ければ、自身でその道を探り、可能な限りヘルパーに近づき、しっかりとアラートしてくれるようになります。

「まじめ」なMプードル、足場の弱さも徐々に克服、自主的な捜索能力を日々強めている感じ。
でもまだ「すんなり行けない場所」も時々出現。相当に頑張ってもらっても無理なときは… ちょっとした工夫で「達すれば!もらえる!」経験を積ませます。
3月20日はよい天気になりました。
いつも行うBOX基本訓練のあとに、ちょっとした崖下BOXを捜索させることを行いました。風がやや強く、犬の位置によって臭いが「すぐに感じる」「断片的に時々感じる」「ほとんど感じない」といったことがおこります。

うまく臭いをとらえられれば、す~と近づき特定することができますが、出す位置を変えると意外とすんなりいかない場合もでてきます。特定すれば… もちろん!吠えます。

浮遊臭に対して「感度の良い」といわれる犬は、わずかな臭いの断片でも「その気に」させます。
上のBOXでは、風向きで臭いが右から左に流れるため、前の写真と逆の位置でアラートしています。
BOXなどに「鼻をつけて」嗅ぎ取ろうとする意識を強めると、風上側の微弱な臭いでも特定することができますが、基本的には風下側で感じ取っていれば正解です。
それでも、できるだけ近い位置で特定しアラートすることが理想です。

臭いを感じて近くに寄ると鼻をつける意識(嗅ぎ取る意識)がついたMプードルは、うまく臭いを辿り反応してくれました。
若きゴールデン王子は、まだ初歩の初歩の初歩段階ですが、ときどき「おもしろく」「楽しく」誘導しながら、いろいろな環境、バージョンで「探すための」導入を試みています。

腰が引けてますが…
上手に誘いながら「いい思い」をさせてあげました。
ゴールデン姫はまだ1歳5ヶ月。それなのに「良いところ」だけ見ればキャリアのある犬のよう。
だがしかし… 経験の浅い段階では、ちょっとした「未知の出来事」「刺激」で「できるものができなくなる」というのが捜索犬の世界。

22日に捜索犬の試験を初めてトライすることになりました。そのたにめにも、基礎トレーニングの繰り返しは欠かせません。

訓練を再開したMプードルは、1年前その試験に合格しています。
捜索犬になるための「強み」は、犬が「やりたくてやりたくて」「たのしくてたのしくて」「見つけたい見つけたい」といった気持ちを育ててあげること。
「探すこと」を「やらせる」というのでは長続きしません。
人見知り王子
若きゴールデンは、ちょっとわけありで知らない人を怖がります。
まだやわらかいうちに、そのマイナス思考をプラス思考に転換してあげなければなりません。

呼んで誘って、楽しい思いを積み重ね… でも、ちょっと怖いと「ママ~」ってな感じ。

少しずつ少しずつ「慣れて」もらいます。

とはいえ、ポヤポヤの毛むくじゃらゴールデンは、誰からも「わ~、かわいい!」と触られモテる時期です。
うらやましいなぁ・・・・ あんなときもあったけ。
@チャンス&飼い主
捜索犬の訓練 090222
新しいゴールデン登場!
ひょんなことから捜索犬関係者が生後半年のゴールデンを飼うことになり、「まずは!」場慣らし&人慣らしのために、若犬を連れて捜索犬の訓練場にやってきました。
チャンスも興味津々… しかし「動くな!」でじっと我慢。
でも何で?ヘンなところに乗っているのか… 一応、これも捜索犬の訓練の一つです。
以前ちょくちょく訓練に訪れていたミニチュア・プードル(T)。「過程の事情」などあって長いブランクのあとの7ヶ月ぶりの訓練でしたが、一度身についた「犬の本能に基づく技」は全く錆びていませんでした。
初めての仕掛けバークBOXでしたが、若さも手伝って元気いっぱいの作業をしてくれました。
ラブ(L)の仕掛けバークBOX。ベテラン犬ですが、基本強化訓練はちょくちょく行います。
前にも登場したハンタウェイ(G)、再び基本訓練を積み重ねていきます。
安定した作業をしてくれるコーギー(M)。
このミニチュア・シュナウザーも、かなり安定した作業をしてくれます。長い訓練の積み重ねが結実しています。
このブログでは常連、雪中捜索まで楽しんできた「若きゴールデン姫」。
まだ1歳4ヶ月ですが、捜索犬の基本はほぼ身に着けて応用・発展段階のバリバリ犬。
しかし・・・ 確実な反応と特定、長~くしつこい咆哮のために、基本強化訓練は欠かせません。
とっておきの顔 捜索犬の訓練 090208
去る2月8日、いつものように瓦礫捜索の訓練を行いました。
そこで・・・
雪中捜索訓練のときのような「犬の表情」をカメラに収めようと、瓦礫の隠れ場所から犬の顔を狙ってシャッターを押し続けました。
もちろん!
捜索に一生懸命、告知に一生懸命な犬にとって、カメラのレンズやストロボには全く影響されませんでした。この程度の刺激に翻弄されるようなら… 捜索犬としての強さは無いかも知れません。
しかし!皆さん全く平気! 頼もしい限り!
ではそのとっておきの表情を一挙公開!
皆さん… 必死な形相…
でも… それが「いい」のです。
捜索犬の訓練 090125 その2
かなり熟練の域に達してきたコーギーにとっては、「よくわかっている作業」ですが、「基本のキ」訓練には素直に反応してくれます。
さて、チャンスにとっての「強化」は、反応性の速さ・・・ しかしそれは、ただ早けりゃ良いのではなく・・・
「確か」な特定とそれに基づく反応です。
しかし・・・ その犬の「クセ」というものは直ぐには直せません。何度も何度もの「積み重ね」で、より良い作業に結び付けていくしかありません。
反応し始めると安定感ある作業をしてくれるチャンスですが、「特定までの自信」のようなものが… まだ少し弱いようです。
試験ではない「現場」「現実」の世界では、「早けりゃよい」のではなく「確かな反応」が一番ですが・・・
「確かに!」かつ「早い!」ということに越したことはありません。
しばらく雪山&雪崩のことが続いていましたので、たまっていた捜索犬の基礎訓練模様をたっぷり・・・。
まずは、1月25日まで遡って、バークボックスを使った「告知反応強化」&「告知持続強化」の模様を。
もちろん、犬の状態に応じて「変化」させますが、アイデアBOXは「それ」をうまくやれるのが良いところです。


上のミニチュアダックスは「凄い意欲」… ただ若くて力任せに突っ走るもので「臭いを見失う」ところがありました。少しずつ経験を積んで確かな作業につなげていきます。


上のMダックスはかなりのベテラン。とはいえ、時々「基本強化」の訓練をしてあげることは良いことです。



ニュージーランド・ハンタウェイという日本には珍しい犬種で、やや難しいところがありますが、仕掛けバークBOXのおいしい「刺激」で意欲的に反応してくれました。
雪崩事故を防ぐための講習会 宝剣 ⅩⅣ
講習会終了
全ての野外講習を終えホテルに戻ります。
初日の春一番にともなう荒天とその夜発生した大雪崩は、厳冬期というよりも春の融雪期に起こるような現象でした。
厳冬期の雪山で起こる「面発生乾雪表層雪崩」発生の予測や回避を中心に勉強する講習会でしたが、違った意味で「雪」を知る貴重な機会になりました。
最後のまとめ! 中級クラスはレポートに追われるクラスですが「雪を理解する」ために大切な過程です。
閉校式では受講生に「修了証」が授与されました。
下山
講習会の全てを終えてロープウェイで下山しますが、関係者は皆「興味津々」です。
雪崩の跡がいろいろと見られそうだからです。
ケーブル駅でゴンドラの上がってくるのを待ちますが、その下の谷には雪崩れた雪塊が堆積しています。背景は、伊那谷とその向こうの南アルプスの山々。
早朝観察時、谷の右方向から見た雪崩谷を正面から見ることができました。
ゴンドラの窓越しのため画像の鮮明さに欠けますが、なかなかの圧巻です。
谷間には氷河ならぬ「雪河」がつくられていました。 もの凄い量の雪が動いたことが想像できます。
沢床が現れ水の流れも見えます。
ゆっくり観察したくても・・・ ゴンドラはどんどん下って見えなくなってしまいます。
それにしても…
谷底が現れ、水の流れが見えているのは「春山」の姿。この時期としては「普通ではありません」。
こうして、2泊3日(我々講師は夜行&3泊4日)の雪崩講習会の全てを終了、帰途につきました。
雪崩事故を防ぐための講習会 宝剣 END
雪庇の観察を終えて下まで降りましたが、まだ少し時間があったので…
10分でどれだけデブリを掘れるか体験!することにしました。
デブリの雪は硬い!
デブリの雪は崩れてきた雪の重みだけでなく、「運動エネルギーの停止衝撃圧縮」のようなものの働きで、通常かなりしまって硬い雪になっています。
乾雪の場合、たとえ崩れたてがやわらかくても、崩れてくる段階で粒度が小さくなたり、煙型で非常に細かい雪粒子になっていれば… しまるスピードが普通の雪よりもずっと早くなります。
粒子が細かい雪は、風で運ばれてくる「風成雪」も同様ですが、しまり方の早い雪です。粒子が細かいことは粒子間の「接触面積が大きい」ということで、雪が固まる原因の「焼結」現象が早いからです。


このデブリは1日半ほどたっているので・・・全体がかなり硬くなっていました。
さらに、湿雪雪崩だったために、最初から密度の高い状態ゆえ… 掘り出しはさらに大変です。

10分間頑張って掘り出し作業をやってもらいましたが…
掘れた雪の深さは50cmにも満たないものでした。
掘り出し作業の困難性を身をもって体験することになりました。
万一埋没してしまったら…
場所を速やかに特定し、掘り出しに移れるかどうかが生死をわけることになります。
雪崩事故を防ぐための講習会 宝剣 ⅩⅡ
雪庇観察
講習会最終日の早朝観察を終え、朝食を食べてから雪庇観察に向かいました。
早朝観察でホテル周辺で認められた雪面の硬化(一般的にはクラストと言われますが…)は、かなり硬いもので、登山靴によるキックステップでも僅かしか切れない状態でした。
一度融解を伴うようなぬれ雪状態から、氷点下で再凍結した雪は「硬くて滑りやすい」ということは、よく経験する現象ですが、そのような過程を経た今日の雪面は滑りやすく事故を起こしやすい危険な状態といえます。
安全を期し、アイゼンを装着して出発。
13日行けなかった雪庇のあるサギダルの頭東稜に向けて再び登ります。
天気は最高… 固い雪面にアイゼンの爪を立てながら歩きます。
上部斜面に入る前、弱層テストを行うべく掘り出しますが… ピッケルを使わないと歯が立ちません。
円柱を掘り出すのに大変な労力を要します。雪面から浅い層は板状に固まっていますが、その下は柔らかい層がありました。しかし、あまりに丈夫な上の層が緩まない限り、とくに危険性はないでしょう。
上り口のこの付近の斜度は、ほぼ 30°です。
雪庇観察場所に通じる斜面はかなり急に感じますが、傾斜計で計ってみると 35~36°でした。
雪庇観察地点は、出発点から高度差60~70mで、状態がよければ短時間で到達できます。
12日に掘り出した雪庇は、13日の強風で大半が埋まって(新たな吹き溜まり)しまいました。さらに強い風で雪庇上部が剥がされ吹き飛ばされ、全体丸みを帯びていました。
断面付近をあらためて掘り起こし、観察することにしました。
このあたりにもかなりの雨が降ったとみられ、雪庇の中にも氷板化したざらめ雪の薄い層が何本かみられました。
氷板層化した幾本かの層の間には、しもざらめ雪がまれていました。
雪庇独特の複雑な構造を観察し、そして… 何故そうなったのかを考えてもらいます。
観察を終えて下山開始。
下りながら、大きな雪崩跡を上から見ることになりました。
雪崩れ、流動化して谷に流れ込んでいる様子が見て取れます。
下って、まだ少し時間があったので・・・ めったにできない体験をすることにしました。(つづく)
3月1日の今日、東京町田市内の丘陵地で開花前のふきの花をみつけました。

袋状のふきのとうも、日に日に成長してこのような花の形に育ち、黄色い小さな菊が集まったような花を咲かせます(蕗の花)。
今日みつけたのは、開く前の蕾状のものでしたが、「小さな春」をアップしてみました。