午前の訓練 Ⅱ
捜索基礎訓練の次は、瓦礫エリアから段差を下って室内に至る場所に行方不明者役(ヘルパー)を潜ませて、複雑な臭いの移動から発臭源を見出させる設定を組みました。
ハンドラー(犬の指導手)からの距離は長くないですが、必要最小限の指示のみで探させる、犬の自主性に委ねた捜索基本訓練です。
とはいえ、半地下状態の室内に潜む行方不明者役の臭いは、広い瓦礫状態の中を複雑に移動、分散、拡散するため、犬がそれをどのように感じ辿って行くのかをハンドラー自身が見て理解しなければなりません。
一見、「そっちの方じゃない!」と感じても、犬に対して安易に指示を出せば「臭いを探し求める」犬に混乱を与えるかも知れません。臭いの移動は風向きの変化、場所による温度の違い、瓦礫障害物の状態などによって、複雑に変化している可能性があるからです。
捜索エリアから明らかに逸脱したり、捜索作業とは異なる行動をした場合を除いては、犬の嗅覚行動とその反応をしっかり見抜く「観察眼」が求められます。
瓦礫エリアを探し回りながら、半地下から流れてくる「潜んだ人の臭い」を感じ取り、中へ入り込むGレトリバー。
瓦礫エリアを移動しながら、潜んだ行方不明者役から流れてくる「怪しい」臭いを探し求めるMプードル。
経験を重ねた犬たちは、あちこち移動するうちに、漂う幾つかの浮遊臭の中から「潜んだ行方不明者役」の「怪しい」臭いを見い出し、半地下室へと入って行きます。
この「怪しい臭い」の選別や区別がどのようにして行われるのか…
犬にとって「当たり前の選別」がどのようにしてなされるのか…
犬に聞けるのなら、一番聞いてみたいところです。
かなり広い瓦礫エリアの中を移動しながら、「怪しい僅かな浮遊臭」を探し求めます。
広い瓦礫エリアの先で、僅かに「臭う!」、「怪しい!」と感じているような… 捜索行動。
「どこだどこだ」と言いながら歩き回っている… ような… チャンス。