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山と瓦礫と捜索犬
山の中、雪の中、瓦礫の中、鼻を使って人を探す犬がいます。 そんな「捜索犬」活動の一端と興味ある自然現象及びとっておきの写真などを紹介します。
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北ア抜戸岳雪崩遭難者捜索再び(2)

北ア抜戸岳雪崩遭難者捜索再び Ⅱ



消失点から吹き飛ばされた対岸エリアの再捜索

 捜索関係者と「どこを捜索するか」を相談し、消失点から吹き飛ばされ対岸で2月に発見されたKさんの位置を中心としたエリアを捜索することにしました。

捜索現場と捜索準備
 天気は快晴に近く、気温も上がり、強烈な陽射しが襲い掛かります。

 前回と同様に、融雪が進む川縁近くを中心に「臭い反応(臭いの出)」がないか探ることにしました。

30日前半の捜索(川沿を中心に) 

 川縁周辺を何度も探らせましたが、はっきりした反応は見られません。

30日前半の捜索(川沿を中心に②)
 大きな岩を中心として、積雪と川との縁付近を丁寧に探らせました。ときどき、川近くを気にする仕草がみられたので、川床にも降ろして臭いを探らせました。


岩の周辺を探るチャンス
 「なんとなく」気にする感じを受けますが… 

 「どこが気になるのか」「どこから感じるのか」読み取れません。

 岩の周辺から川に向かって「何かを感じている」様子は、もしかしたら… 対岸(消失点から続く積雪)の融雪水に含まれる「臭い」を感じているのでは… という考えを起こさせました。

 対岸の崖から融雪に伴う水流が見えていたからです。しかし、これはあとから考えれば「余計な推理」でもありました。

 消失点から「どうなったか」を考えるとき、発見された1人と「同様(吹き飛ばされた)」と考える確率と、「もしかしたら(吹き飛ばされていない)」と考える確率を比較したとき、確率の大きい方をより重視(徹底)すべきである・・・。

 それは、後で反省することになります。


岩の周辺川床を探る

 気にする大岩周辺の沢床に降ろして、「よりはっきりした反応」を期待しましたが… 読めるほどの反応はありません。
気になる部分から上流に向けてプロービング
 嗅覚捜索の開始からさほど経たないうちに、雪中に赤いものを視認。

 掘り出すと、それは手袋でした。

 捜索関係者に「手袋発見」を伝え、捜索に関わった人のものか、それとも遭難者のものか確認してもらったところ、「遭難者のものらしい」遺留品であることがわかりました。

 軽い手袋は、遭難者から離れていてもおかしくはありません。発見位置から上流に向かってプロービングが行われました。

 その間、引き続きチャンスに上流側エリアの捜索を続けてもらいました。

 しかし・・・ 反応は得られませんでした。



30日前半の捜索を終えて休む

 川縁周辺の捜索を一段落し、しばらく休みました。



遭難者の遺留品と見られる手袋
 遭難者のものと思われる赤い手袋(干しているところ)。

 

 休憩中、雪中の臭いをどのようにして感じ取らせるか・・・ 捜索エリアを眺めながらいろいろと考えました。

 プローブによる穴もその一つですが(雪中の臭いを出す試み)気流が川床に吸い寄せられれば臭いは出てきません。

 深く掘れば、その場の臭いは出やすくなります。しかし、どこを掘るか・・・ 人力と時間に限りがあって、「ここ」という目星がなければ頼りは「運」だけになります。

 

 いろいろ考えた末に、20~30cmの深さの「溝を掘って臭いを探る」ということを提案、捜索関係者に協力をお願いすることにしました。

 「雪面よりは臭いを感じやすい」であろう、という程度のものですが、何もやらないよりは・・・。

 とにかく、試すしかない・・・ という思いからでした。

 

 

 




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