防災訓練 IRUMA
先日の23日、入間市の防災訓練に参加してきました。
今回の訓練は市の運動公園の一角を使って、倒壊建物・土砂埋没現場から要救助者を救出するという想定で、消防(レスキュー)、消防団との連携訓練です。
私たち捜索犬は、消防からの要請を受けて車で現場に向かいます。後部席に3頭とハンドラーが乗り込み、出場まで待機しました。
消防団の消火及び救出活動が進められ、そのあと行方不明のままとなっている要救助者を捜索犬が探し見つけ(告知反応)、レスキューに救出をお願いする、という流れで行われました。
2頭の捜索犬が捜索、反応のあった箇所(屋根の下)を3頭目の犬によって確認させることにしました。
まもなくレスキューによるファイバースコープカメラ検索、救出救助作業が行われました。
防災訓練での捜索犬活動は、通常の犬に任せた自主性に基づく訓練と違って、短時間に慌しく動いて「見せ場を意識した」作業のため、犬たちも戸惑い気味…。
それがわかってかわからずか、
作業を終えた犬たちが、「もう一度やらせてくれ!」と訴えるように見えることが多いのは、
気のせいだけでしょうか…。
日本にはもともと奄美大島(群島)だけにしかいなかったアカボシゴマダラという蝶がいます。
もう16年も前になりますが、「奄美大島にしかいない」「スカイラインのテールランプ模様を付けた」その蝶を求めて島を訪れたことがありました。
しかし、そのときはまだ発生前で自身の目で直接確認することができませんでした。
ところが最近・・・
南関東に安定的に発生しているらしい… という新聞記事を思い出して調べてみると、
奄美のものとは異なる中国大陸産亜種のアカボシゴマダラ(赤星胡麻班)が人為的に放たれた結果、
年々その生息数を増しているとのこと。
そしてなんと… 要注意外来生物の一つになっているとは…。
そうとは知らない先月下旬、横浜市内のファミレス駐車場でこの蝶の死骸が落ちているのを偶然発見。
「これって… アカボシゴマダラじゃないか???」
誰かが人為的に捨てたとも考えにくい状況の中、「このあたりで発生しているのだろうか・・・?」と妙な不安を感じていました。
訓練場にも… 出現!
蜂に刺されたそのあとのお昼をとっていると… ヒラリ~ヒラリ と近くを舞う見慣れない蝶が目に入りました。
一瞬、アサギマダラ(浅葱斑)かぁ?といった感じに見えましたが… ちょっと違う… そして、赤い斑点が目にとまり… アカボシ!かぁ~な?
その後、ふわりふわりと飛んで行った先にはエノキが… やっぱり… アカボシだぁ!
訓練場の脇には大きなエノキがあって、春先~夏にはゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)の飛翔を何度か目撃していました。
そして、気になるその個体を追って近付き写真に収めました。

止まっている枝先にそっと近付き、カメラを向けるとまさに産卵中の姿。
奄美のアカボシゴマダラはリュウキュウエノキという南方のエノキが食樹という知識があったため、本州のエノキで育つのか?と一瞬疑問に思いましたが、この蝶が大陸系の亜種と知って納得。

母蝶が飛び去ったあと、産卵していたところを見ると産みたての卵が一つ…。

産卵したあと、地上近くに舞い降りて休んでいました。
翅はだいぶ破損していましたが、赤いテールランプ模様ははっきり残っています。
犬に関わる前のその昔… こんな蝶の写真を撮りまくっていたときがありました。
このブログでもときどきアップしていますが、急いで追って… そっと近付いて… の近接撮影は結構な労力と緊張を要します。 そんなことまで思い出す一時でもありました。
久々に味わった緊張撮影でしたが、結果的に要注意外来生物の産卵現場を収めたとは…
なんとも複雑な思いです。
捜索犬普段の訓練 090816 その1
熱い日差しを避けて… 草の上が一番。
16日は暑い日になりましたが、晴れをもたらしているのは太平洋高気圧ではなく北から覆う高気圧で、湿度が低くカラっとしてしていました。
しかし、捜索訓練場の箱やその周辺はとっても熱くなっていて、隠れるヘルパーも探す犬たちも大変。
それで! 蜂に刺された16日の午後は、「土管内馴致捜索基礎訓練」を行いました。
土管内馴致捜索基礎訓練
土管内進入に不慣れであっても、ほとんどの犬が「感じる臭い」を追って近付いてきます。
ところが… 人間の感覚ではどうということのない板の前で躊躇する犬もけっこういました。とくに「斜めに傾いた板の上を直進すること」が抵抗になっているようで、慣れさせておく必要がありそうです。
この「ちょっとした事」 を「何でもない事」にすることが馴致訓練の一つです。
犬も「吹っ切れれば」、強くなります。
そう、吹っ切れれば! いつもと同じように・・・。
「ちょっとした事(障害物)」も、大きな犬にとっては「取るに足らない事」である場合があります。
まるで気にせず、やって来て、欲しいもののために・・・ アラート! そしてゲット!
このスタンプーも、「欲しいもの」を求めて、素直に取りに来ました。
もちろん、もらうためには・・・ しっかりと吠えなければなりません。
背が高いので、立ったまま吠えると頭がぶつかるような感じ。ちょっと吠えにくそうでした。
このミニチュアダックスは特に問題なくやってきました。ダックス系はもともと「暗く狭いところ」が強いはず。良い印象を与えて強化すれば、かなりのことをやってくれるはずです。
「潜り込んで」「ゲット」する訓練を積んでいきましょう。
アシナガバチの手痛い一撃
先週の日曜(8月16日)、捜索犬の訓練場でいつものように初歩的な訓練を行っていました。
訓練に先立ち、「あちこちにアシナガバチの巣があるので、隠れるときには周辺をチェックしてください」と参加者に伝えていました。
そう言っていた矢先、「注意した私」がヘルパーとなって隠れたBOX内で… 思い切り刺されました…。
情けない…。

写真左にある隠れ家(BOX状 )の中に大きなアシナガバチの巣がありました。
朝早めに行った1頭の犬のときに隠れ、そのときは普通に告知~ご褒美と行い、蜂の気配や飛翔は全く感じませんでした。
ところが、そのしばらくあとに行った初歩訓練で、蜂のいるのも知らずにいつものように告知した犬にご褒美を与え、遊び褒めていると… おとなしくしていた蜂がその刺激でいっせいに行動を起こしたのです。
まさに、一斉 蜂起!
痛っ! その痛で瞬時に危険を察知、慌てて飛び出しました。

幸い、刺されたのは右手の薬指第二間接あたり「のみ」。 (16日 12:27 )
その痛さ、縫い針やマチ針でいきなり刺したような… とっても 痛い!
アシナガバチには今までにも何度かやられていたので、痛みが引けば大したことはない…
という軽い気持ちでやり過ごしていました。
ところが…

「腫れてるみたい」という周辺の声に、確かに腫れてきている…
それも、指でなく手の甲までが…。 (16日 14:46 )
しかし、とくべつ痛みが増したわけでもなく、感覚的な違和感や心理的な不安感はまだありませんでした。

訓練を終えて帰途につきましたが、ハンドルを握る手の腫れが気になるばかり・・・。 (16日 17:36 )
帰ってからも、腫れは引かず、さらに酷くなる兆候…。

左右の手を比較すれば、見事にその違いが…。 (16日 17:34 )
しかし、今日は日曜日。
多少の不安はありましたが、発熱や全身症状に異常が出なければ、救急や時間外外来に行く必要はないだろうと、高を括っていました。

夜になって、さらに腫れ… 患部は熱っぽくなっていました。 (16日 22:02 )
就寝中、腫れた痛さ(張ったような痛さ)に時々目が覚め、少々不安…。
「明日は、朝一で病院に行こう… 」 寝付けない夜を過ごしました。

医者に行く直前の状態。 みごとに! 腫れ上がりました。 (17日 8:03 )
とりあえず、かかりつけのお医者さんに診察してもらいました。
腫れは手の甲止まりで、脇の下の腋窩リンパ節の腫れはみられず、
投薬「セレスタミン(抗炎症・アレルギー)、インテバン(消炎・鎮痛)、リカバリン(止血)、フロモックス(抗生物質)、+セルベックス」で様子を見よう、
ということになりました。
(腫れが手の甲を越えるようなときは専門医に… )

不安な気持ちも少しおさまって、帰ってから熱っぽい腫れた部分の温度を測ってみました。 (17日 10:56 )
通常の体温計なので、あくまでも比較ですが、異常のない皮膚表面よりも+0.4℃ほど高くなっていました。

刺されてまる一日(24時間)たったころの腫れが一番のピークになっていたようです。 (17日 11:14 )
普段、普通に指を内側に曲げて閉じれる(握る状態)ものが、甲が張って痛く、曲げることができませんでした。
こうして、ドラエモンの手 だとか、赤ちゃん、お相撲さんの手 みたいと言われた異常な腫れも、
その後3日目にしてようやく引きはじめ、もとの状態にもどりました。
アシナガバチ… 侮れず!
探すのやるぞ~
チャンスにも、ヘルパー役を頼んで川向こうの奥に入ってもらいました。

最初いきなり、意識を対岸に向けようとしましたが…
「臭いを探し求める」意識はあっても、「川を渡って前に行く」という意識はまだまだ弱いようです。

なんとなく感じるか、あるいは見出せないか、水面付近を移動しながら上流側へ向かいました。

石崖にぶつかる臭いの断片を感じてか、石崖に沿い、あるいはその上方を一時気にしました。

わずかに感じる臭いが対岸から来ていることを分からせようと、再び対岸に向けて出してみました。
今度は川を渡り、対岸に渡りました。渡ればすぐに取れると思っていましたが、ピンとくる反応は出ません。

対岸の左右(上流~下流)を移動させるよう意識させたあと、しばらく後、ヘルパーの臭いをとって奥へ入って行きました。
十分咆哮させてもらい… 麻布をゲット。

よ~し、よ~く ヤッタ!
犬たちにとっては、ほとんどが水中レトリーブに明け暮れたデイキャンプでしたが…
最後に少しだけ ワン訓練して…
楽しいワンデーキャンプを終えました。
西丹沢 WanDay キャンプ END
西丹沢 WanDay キャンプ その7
疲れたあとは…
ワン捜索 訓練
おまけ、といってはなんですが… せっかくの「自然環境」をムダにする手はありません。
しかも、捜索させるエリアに人はいません。
ということで、疲れたあとの犬たちに、「ワン捜索」訓練を行いました。
ヘルパーが隠れる場所は川を挟んだ対岸の樹林帯。
こういう設定はよく思いつくものですが、ヘルパーが川を渡れなければなりません。
そこそこの水深、水流、そして飛び石など、犬も人も川を渡れる条件でなければ実行できません。
そしてそれには渡渉技術も必要ですが、その「出で立ち」も大切です。
今回、私は「渡渉ヘルパー役」を予感して、その「出で立ち」を整えてきました。
地下足袋にわらじ・・・ えらく久しぶりの出で立ちです。 でもこれ、沢歩きや渡渉に滑らず… 最高です。
川を渡って、隠れているヘルパーの臭いを求めてやって来るGレトリバー。まじめに探して、私のところに近付いてきました。
Mダックスほどの小型犬では、渡渉は難しく、手間取るため抱きかかえて移動。
対岸(こちら)に放たれてからは、いつもどおりに臭いを追ってやって来ました。
対岸に渡って、岸沿いに移動すると、こちら(ヘルパー)の臭いが素直に拾えなくなるようです。
しかし、移動している中から求める臭いを感知すれば… 近付き… 発見咆哮(アラート)してくれます。
西丹沢 WanDay キャンプ その1
お盆休みで混雑する道路と各地のキャンプ場…。
そうとわかっていながらの「捜索犬キャンプ」を8月14日に企画、行ってきました。
捜索犬キャンプとはいえ、捜索犬とそのハンドラーが集まってのデイキャンプで、捜索訓練の方は今回「おまけ」です。
場所は西丹沢、今までも何度と無く訪れている馴染みの地ですが、さすがお盆休みの真っ只中。
早い時間に到着しても、あちらもこちらもキャンプ客ばかり…。
第1候補地はすでに先客で埋まり、第2候補地は歩く距離がややあるので後回し、第3候補地は・・・どこもかしこも「難民キャンプ」状態。
穴場発見
いろいろさがして、良いキャンプ場所を見つけましたが「人のいない訳」がありました。
キャンプ設営のための荷物を運ぶための「手段」と「技術」が必要でした。
犬と人も「大迂回」しなければ目的地に行けません。
だから… 穴場として残っていたのです。
「荷降ろし完了!」
まずは、「飲み食い本部」設営へ。
飲み食い本部設営中につき、いいこでいてくださいヨ~。
荷降ろしを終えたら、憎っくき「雨」が!
急いでタープを張って、無事本部設営。
今回は、手軽なデイキャンプ。最低限の火力と持ち寄り食材で、ささやかに・・・。
おいしそうだな~。で も・・・ 君のではありませんヨ。
「まだかな~」「いつ遊んでくれるんだろう・・・」
親子とも、寝て待つしかありません。
ん~目が覚めてしまった。
「ここはどこ?」「わたしはだれ?」
5月19日生まれの新参者です。
初めてのキャンプ参加、よろしく です。
防災訓練 Ⅱ
一般的な防災訓練に捜索犬が出る場合、発災~被災の流れの中で、訓練開場の中に用意された「擬似倒壊家屋」などの中に行方不明者(要救助者)がいるという設定で捜索活動が行われます。
と言っても、発見後の救出作業を行う消防や自衛隊関係者が待ち受ける中での短い時間での捜索で、ほとんど「演技」にならざるを得ません。
犬にはできるだけ「自然」に近い状況で「臭いをとらせて」「告知反応」させたいのですが…。
擬似倒壊家屋の中に要救助者がいるという設定で、捜索犬(ビンゴ)に捜索させます。
臭いをとらせるために屋根に上がらせることもありますが、必ずしも必要ありません。
それでも、訓練とは別に防災関係者や訓練見学者に対しての捜索犬アピールにつながります。
中の人(要救助者役)の臭いを感じて告知(アラート)咆哮してくれれば…
「要救助者が○○付近にいる模様」と告げて、救出作業を行う、消防や自衛隊にバトンタッチします。
防災訓練 Ⅰ
例年、8月下旬から10月にかけて各地で防災訓練が行われます。
もともと、関東地震(M7.9:1923年9月1日)によるいわゆる関東大震災(死者99,000人以上)の教訓を忘れずに、
防災意識を高めるためにとつくられた「防災の日(9月1日)」に合わせて各自治体を中心に催されています。
兵庫県南部地震のあった1月17日(1995年:阪神淡路大震災)の日も同じように「震災の日」となっています。
そして、阪神淡路大震災以降、国内に急速に育成の波が広まった「災害救助犬」も、地震災害時の捜索活動に生かそうと
この防災訓練の一員として参加するようになりました。
ヘリ降下訓練
防災訓練の中でもヘリから捜索犬を降ろす、というものは特殊で一般的には行われていません。
しかし、万一の際に、そのような必要性が起こったら、できるかどうか・・・
ある自治体の意向で「そのような訓練を行っておこう」と実施され、その特殊で貴重な訓練に参加する機会を得ました。
もう、7年も前のことですが… 先代犬ビンゴと一緒にこの訓練に参加したので、折を見ながら報告していきたいと思います。
ヘリのホイストにぶらさげられ、搭乗員によって外に押し出されたビンゴ。
観念して(?)、ひたすら下降していくのをおとなしく待ちます。
ヘリの高さは約 20mほどです。
焼印
今から10数年前、ビンゴの現役の頃、ダンベルなどに印としてつけるために焼印をつくったことがあります。
その後、犬の関係者から頼まれたり、冗談グッズ的なもののためにいろいろ作っていましたが、チャンスの代になってから、何もつくっていませんでした。
そんなチャンスも、この10月で7歳。何もない・・・なんて、ちょっとかわいそう(?)。
というわけではありませんが、知り合いからダンベルに焼印を入れたい、という依頼があったために、久々に焼印をつくるそのついでに、無かったチャンスの焼印もつくることにしました。
出来上がったものが・・・
今回新しくつくったものが「CHANCE」で、「犬の足跡」はビンゴの時代につくったものです。
昔つくったビンゴの焼印と新しくつくったチャンスの焼印の章。
で、どのような使い方があるのか…
知合いの希望でつくった焼印(犬名)と足跡マークをダンベルに押したものです。
焼印を押したビンゴ時代のダンベルはまだ健在です。
設定を変えた擬似家屋の捜索
捜索施設の一つ「擬似家屋」も、今までやっていなかった設定で訓練を行いました。

擬似家屋のドアは開放してありますが、いろいろな物を置いて犬が簡単に入れないよう「意地悪」をしてあります。

上の黒ラブ、擬似家屋の中からの臭いをとって「入りたい」気持ちいっぱいなのですが、乗り越えて入る自信が今ひとつ。
そこで、ヘルパーやハンドラーによるちょっとした「キッカケ」をつくってもらい、入ることで「いい思い」をたっぷりしてもらいまます。
このあとは、何度か同じ動作を繰り返させて、自信を積み重ねていきました。

閉じた擬似家屋や、内部障害のある擬似家屋での訓練はけっこうやっていたチャンスですが、この開放ドア+意地悪障害では、やはり普段の行動とは違ったものが現れました。
前の開放土管のときと同様、入り口付近で臭いをとったにもかかわらず、そのまま入ることはせず、何度か周辺を移動~そして戻る、といった行動をとりました。
結果的には、障害はものともせずに入り込みましたが、やはり「ムダ」の多い行動になってしまったようです。
今回の訓練では、チャンスにとっての課題とその解決に向けた手法のいくつかを得ることができました。
次の訓練が楽しみ …かも。
瓦礫全体エリアから土管奥へ
土管の中に潜むヘルパー(行方不明者役)を探す訓練や、土管入り口近くから奥の方に隠れたヘルパーを探させて発見させる、といった訓練(体験)は今までにも結構行っていました。
しかし、「土管が開放状態でその奥にヘルパーが隠れていて、入り口に障害物があり、離れた場所から捜索させる」という設定は意外にも行っていませんでした。
まずはチャンスから試してみました。

通常の瓦礫エリアの捜索状態で、臭いを求めて行動しますが…。

開放土管からの臭いをすぐに感知して行動するかと思いましたが、そうはなりませんでした。
周辺を動き回った後に土管からの臭いをとらえました。
しかし、チャンスにとっては、土管からの臭いなのかその周辺(土管内部以外)からの臭いなのか、判断はできなかったようです。

土管際で感じた臭いを、=「土管の中からの臭い」とは思わなかった(あるいは自信がなかったのか)、再度周辺を探って臭いの強弱を確認したようです。
結果的には、土管内部からの臭いと判断するかのように再び土管に戻りました。

土管の脇から円内に入ることによって、臭いが土管内部から来ていることを確信した様子で、内部に入り込みました。
しかし、土管内に入り、ヘルパーに近付き、確信をもって吠えるまでにやや時間を要しました。
やはり、ちょっとした「未体験パーツ」が存在することによって、「できるだろう」「できるハズ」と思っていたことが直ぐにできないことの例であろうと思われます。
時間の無駄を考えなければ「結果的に見つけた」ことにはなりますが、「体験的積み重ね訓練」で「時間や労力の無駄を少なくすべき」と、あらためて思う次第でした。
他の犬たちにも

Mシュナウザーと若いゴールデンも同じ設定で行ってみました。
Mシュナウザーは、障害物を越えて中へ入る部分での「不利」は仕方ありませんが、これも体験・自信・達成感を積み重ねれば強くなれるでしょう。
若いゴールデンは、臆することなく「すんなり」と土管内に入ってくれました。
今回は、比較的慣れたヘルパーということもありましたが、いくつかの設定パーツを変えながら、いろいろな経験をさせ、自信を持たせれば、より安定したいい作業につながりそうです。

上のゴールデンは、管の縁で臭いを感じて告知してくれましたが、不安定な障害物に対する苦手意識があるせいで、自主的に土管内部(臭いの出てくる方向)へ行けませんでした。
段階的にとらえれば「正解」の部分もあるために、無理強いさせるよりも、行動性を抑えてしまっている弱い部分の強化(原因を因数分解してパーツにわけて個々を強化)が先決です。
慣れていない設定、やったことのない設定…
設定を変えるだけで、普段見えていなかった「課題」が見えてくることがあります。
「できるに決まっている」「できて当然」… と思っていると… 失敗します。
課題を知ること、原因を知ること、解決していくこと… 捜索犬の訓練に終わりはありません。
捜索犬普段の訓練いろいろ 090802 その1
あいにくの天気 でも犬には Good!
8月2日の天気は南西から次々やってくる雨雲の影響で、降ったりやんだり。
人間にとっては煩わしい天気でしたが、犬にとっては真夏の中のクールな状態
とはいえ、ムシムシと蒸すだけでなく、草場には蚊がウジャウジャ…。
いつもとは反対側の草の多い一角に仕掛けBOXを持ち込み、基本強化訓練を行いました。
これからの犬たちにとっては大切な基礎訓練ですが、雨の中、草の多い中でも「問題なく」やれるようにしておかなくてはなりません。
クズと雑草の生い茂る藪の中に入り、犬に探させますが、密生してムシムシした草の中の人の臭いは素直にとれるものではありません。
犬が積極的に潜り込みあるいは草間を移動して見つけようとする意識がないと、臭いをなかなかとらえることができません。
それにしても、こんな中に遭難者役で潜めば… 吸血虫(蚊)の集中砲火を浴び続け…
もう、大変!
訓練場の整備とツマグロヒョウモン 090802
クズ(葛)山から瓦礫山に
6~7月の夏草繁茂が半端でないことは、本ブログの写真からもわかると思いますが、刈っても刈っても… すぐ繁茂…。非情な現実が付き纏います。
瓦礫山もいつの頃か青々とした目に優しい草の山に変身してしまっていましたが、瓦礫本来の訓練ができない… ということで、今日は、瓦礫山の頂上付近から東側の葛(クズ)とその他の雑草を刈り取ることにしました。
東側はかなりスッキリして、瓦礫本来の姿に甦りました。
お疲れ様!
温暖化の一例… ツマグロヒョウモン
本来、愛知県あたりから西日本にしか生息していなかったヒョウモンチョウ(豹紋蝶:タテハチョウ科)の仲間のツマグロヒョウモンがここ数年関東地方でも「当たり前に」見られるようになりました。
単純に言えば、冬の寒さが「彼らが越冬できるほど」暖かくなった… という温暖化の影響が大きな原因であることは間違いありません。
さらに、彼らの食草(幼虫が食べる植物)がスミレの仲間で、園芸品種のパンジーも含まれるということで… 育ちやすい環境のあることも北上の原因の一つといわれます。
訓練場の周辺にもよく出現し、ヒラヒラと舞っている姿を目にするようになりました。
草刈の途中、ヒラリ~ヒラリ~舞うツマグロヒョウモンがススキの葉に止まったのを目にして撮影しました。
翅を広げれば、褄黒(ツマグロ)模様の美しい姿をしているのですが、狙っている間は開いてくれませんでした。
ところで、蝶(昆虫)の脚は6本ですが、写真では4本しか見えません。
さて… 残り2本はどこに?
捜索犬普段の訓練いろいろ 090726 その4
チャンス 「穴場」に落ちる
訓練の終盤、ヘルパーにどこかに隠れてもらい、チャンスに捜索させました。
ハンドラーとしてはどこに隠れたか知らない状況なので、ある程度エリアを分けながら順次チェックさせるようにして進んで行きました。
瓦礫を移動する段階で、わずかながら臭いを感じているように見えました。
余計な指示は出さずに臭いを探し求めるままに観察。
葛や草で見えにくくなっていましたが、瓦礫内に置かれた車付近に近寄ったのち… 「ボテッ」といった鈍い音を聞きました。
その後しばし姿も音もなくなり…
しかしまもなく、チャンスの吠え声。
こちらからはどのような状況か把握できません。ただ、吠え声がややこもった感じで… もしや隙間に落ちたのではと推察。
案の定、車と瓦礫の隙間に入り込んでしまい、その状況下、車内のヘルパーに吠えていることが判明。
穴の中に入ったのか、落ちたのか… 定かではありませんが、様子を見る限り車内のヘルパーに吠えていて、「出してくれ~」という叫び声でないことは確か(?)で… ちょっと安堵。
それでも、周りの人が助けようとすれば、チャンスもその気に(?)になってか、登り出ようと必死になる感じでした。
瓦礫の壁と車の間は 40~50cmくらい、瓦礫側は垂直からややかぶり気味で、犬は本能的にわずかに傾斜した車側を登ろうと跳び上がります。
しかし、「前脚が引っかかるための取っ掛かり」がなく、自力登攀することができませんでした。
土や岩壁であれば出れるかもしれませんが、この状態は「罠に嵌った動物」そのものです。
手助けして … 救出!
よ~し、よし! よくやった!
とはいえ、災害現場や山の中でこのような「穴場」のある場合が十分考えられます。
状況を把握できない離れた場所でこのようなことがあったら…
落ち込んだ穴の中で吠えていたとしても、聞こえなかったら…
あるいは、落ちたことがわかっていても、救出する手段がなかったら…
捜索犬として活動する上で、考えさせられる一場面でもありました。
捜索犬普段の訓練いろいろ 090726 その3
葛で覆われた瓦礫山 場慣らし
葛のツタで覆われた瓦礫山は、経験の浅い犬たちにとっては、見た目以上に難儀なものであることがわかります(普段の訓練 0712 その2)。
そのための場慣らし訓練を行いました。
基本的には、「呼び寄せ」ご褒美と「遊び」です。
葛の下は瓦礫で、所々落ち込んでいたり見た目以上に不安定です。
三峰川のガレやザレであれほど活発に移動できた犬も、ちょっと違う場面では躊躇してしまいます。
それでも、「行きたい」衝動を起こさせ、無我夢中になってくれればしめたもの。
ただここでもやはり、ハンドラーやヘルパーがそんな「犬たち以上に身軽に移動できること」が上達への近道なのですが…。
捜索犬普段の訓練いろいろ 090726 その2
小型犬も大型犬も、捜索犬としての基本を身につければ、それぞれに臭いを感じ、確かめ、接近して「特定」することができますが、瓦礫の中でスピーディーにこなせるのはやはり中~大型犬です。
もちろん小型犬も、じっくりと丁寧に探る必要のある限られたエリアであれば良い仕事をしてくれますが、広範な瓦礫(悪い足場)をスピーディに移動することは並大抵のことではありません。
このMシュナウザーは臭いを捉えると、小型犬としての不利な移動を、ピョコピョコ跳び渡る動作でこなすことができます。しかし、臭いを捉えるまでの探し回る動作においては、そこまで大胆な行動はしてくれません。
行動力あるEスプリンガースパニエルも、タイヤ障害にまだ不慣れだったために、ヘルパーの潜む場所に接近するまでやや躊躇しました。
しかし、これも「タイヤ当たり前」にしてしまえば解決されるはずです。
そんな障害物も、乗り越えることさえできれば… 「感じる臭い」に対して吠えないわけにはいきません。
非常に活発でスタミナいっぱいの若いゴールデンですが、ちょっとした足場の悪さで躊躇してしまうことがあります。
ポイントを示さず、感じる臭いだけで吠えてしまうときは…
発臭源に行き着かないと「何ももらえない」ことを自分で感じ、解決(乗り越え)手段を自分で考えさせるのが一番です。安易に指示する(手伝う)と、犬は「解決のための思考」を停止してしまいます。
普段の訓練、それは「犬自身の学習」につながらなければ、ハンドラーの自己満足だけに終わってしまう・・・ そんな怖さをも秘めています。
それでも… ちょっとしたキッカケから「できなかった事」が「できるように」なることはよくあることです。
自信を持ち、躊躇する場がなくなり、現場で直面するかも知れない不安な心理を無くしていけば… より確かで強い捜索犬へと脱皮してくれるはずです。
とはいえ、それもこれも…
結局は、ハンドラーや訓練指導する者に課せられた責任でもあります。
捜索犬普段の訓練いろいろ 090726 その1
天候不順で梅雨空が続く7月最後の日曜、この日は久々の猛暑となりました。
「盛夏の中の良い天気」下ではたいした訓練はできません。
なるべく短時間で・・・テキパキやるしかありません。そうは言っても、なかなか思うとおりにはいかないのが現実。
とにもかくにも、水分補給(犬も人も)と「時間のかけすぎ」「やりすぎ」熱中症には要注意です。
けっこうイケる若きMプードルでしたが、今日は暑さが影響してか意欲がいまいち。
こんな条件でも、やらずにはいられない!吠えられずにはいられない!ようにしていかなければなりません。
つぎは往年? いえいえ…
まだまだこれから犬
そこそこベテラン犬たちに単純設定で捜索をさせました。
ただし、臭いの元(発臭源)に近付くためには、それなりの障害物を越えなければなりません。
久々に「チャンスから」お先に。
この設定ではいつもになく…「素直に?」こなしてくれました。
5月に出産してしばらく訓練していなかった久々参加の黒ラブM。
それでも、身に染みついた仕事振りはなかなかのものです。
Mダックスは、大型犬よりも瓦礫の輻射熱を受けやすいので盛夏の中ではより注意が必要です。
しかし、比較的早くに臭いをとらえて発見に至ったため、それほど心配する必要はありませんでした。
ただ、吠える足場がMダックスにとったは滑りそう。隙間に後脚を入れて頑張っていました。
いつも安定した捜索作業をする別のMダックス、臭いをとらえて見つけ出そうとする姿はさすがです。
ただ、タイヤ障害物に慣れていなかったせいか、もう一歩(ダックスなので3歩?)がなかなかクリアできません。
積み重なったタイヤの経験をしていない犬は、人間が思っている以上に犬にとっては不安材料のようです。「慣れてしまえばどうってことない」代物なので、普段から慣れさせる機会をつくってあげればOKです。
捜索犬普段の訓練いろいろ 090712 その2
夏の葛(クズ)の繁茂力は凄い! としか言い様がありません。
瓦礫の山が、あれよあれよという間に「葛の山」になってしまいました。
とはいっても、うわべだけの緑の山。足場の悪さは緑の下に隠されています。
そんなクズ山の上に隠れ(というより見せて)、まだ経験の少ない犬たちを「慣らす」ための訓練を行いました。
葛のツタが行動を邪魔するだけでなく、見えない足元は不安定で、瓦礫慣れしていない若い犬は思いのほか近付く(移動)することができません。
小型犬の場合は、さらに不利な場となります。大型犬よりはるかに視界は悪く、臭いもとらえにくくなります。
たいした障害ではないように見えても、若く経験の少ない犬はなかなか入って(登って)これません。
縦横に絡むツタやブッシュの類は、潜り込んで進んだり、掻き分けて進む動作を覚えさせないと労力ばかりが負荷としてかかり、意欲の減退にもつながります。
ごく若いときから、草むらやブッシュの移動に慣らせ、掻き分け、突き進む動作と意識を自然に育てておくことが一番です。
捜索という訓練以前に、まずは「ハンドラーと一緒に面白楽しく歩き回らせること」が必要です。
もちろん、それをさせるためには、ハンドラー自身が道なき道、密度の濃い草むらやブッシュを好んで入っていかなければなりませんが…。