宙に浮く影
畑薙大吊橋実践渡りもそろそろ終盤です。
チャンスと若いゴールデンを対岸に残して、次の方「青年Gシェパード」がやってきました。

このシェパード、ハンドラーの先をしっかり歩いてくれますが、何故か歩行板の左に寄って歩くようです。
後ろから見るハンドラーにとっては… ちょっと不安なクセ(?)。
この犬は、自分の右「ハンドラーの脚側スペース」を意識しているのでしょうか…。

湖面に目をやると…
私の先を歩くGシェパードとハンドラーの姿がそのまま… 投影されていました。

歩む姿と湖面の影との関係は…。
宙に浮いた現実を認識できる なかなかの眺めです。
こんな眺めを楽しめれば… good ですね。
二連渡り
対岸に戻り、若い犬とチャンスを連れて橋を渡り返します。
若い方は、まだ安全を期してリードを着用。チャンスを先に行かせますが、ときどき戻ってきては邪魔をします。
イケナイ! マエへ!

「気になるんだよな~」

ついたり、離れたり… 突いたり、放れたり… 二連渡りが続きます。

こんな感じでした(YK氏撮影)。
途中、結構な強風が吹いたりで、「なかなか」でしたが、こうして、長~い畑薙大吊橋実践渡り訓練を無事終了しました。

最後に皆さんで。 シェパ君ごめん、君だけ顔が…。
この頃、えらく強い風が吹き撮影もままならず… 一瞬の記念カットでした。
一息ついて、風の弱い場所を選んで休むことにしました。

君たちはそこで待っていてね。

なぜチャンスだけそこに? 「さ~ 」

昼もすっかり回り、皆腹ペコ状態。遅い昼食です。
このあと、駐車場に戻りますが… カメラが急に不調になってしまって「何も写せません!」
ので、写真はこれでおしまいです。
駐車場を 14時30分に出発。
井川ダムから大井川接岨峡へ、再び細い山道をうねうね下り、千頭へ。
千頭から渋滞ぎみの国道を避けて、大井川左岸の県道を下泉というところまで辿りました。
かなりローカルな道で、今日の強風の影響もあって路上には杉の枯れ枝葉がたくさん落ちていて「ほとんど使われていないような道」状態。
下泉に着いたとき(16時47分)はだいぶん暗くなってしまいました。
今回、さらに下流にある吊橋を予定していましたが、諦めて次の機会に回しました。
そこで! 急遽、薄暗い大井川の河原近くの一角を使って「簡易捜索訓練」を実施。
何本かやった後、下泉をあとに真っ暗になった大井川沿いの県道を下降、東名吉田ICから帰途につきました。
吊橋ツアー おわり

対岸には犬4頭があつまりました。
一休みして、最初に渡った2歳のゴールデン(♀)から戻ります。 その子を気にするチャンスを橋の脇に…。
しかし変なところに立ってます。
チャンスよ、帰りは橋の縁を歩きますかい?

2歳の若いコが先に戻ります。チャンスを置いて、写真をとりに追っかけました。

はい、ポーズ。 若いのに余裕ですね~。

このコも、ハンドラーの先を積極的に歩いて行きます。 ハンドラーの方が… もしかして… この橋怖い?

足元は透け透け、船のように揺れる橋… でも 動じることなくたんたんと歩んでいました。

若いコとそのハンドラーをやり過ごし、次の方を待つことにしました。
次の方… は、Gシェパードの青年です。
(つづく)
先に渡った2歳のゴールデン(♀)とGシェパードのハンドラーに若いゴールデン(♂)を預け、チャンスの待っている
対岸に戻りました。
行くぞ! チャンス

「はいはい、おやすいご用で・・・ 」

チャンスを連れて渡りはじめて20mくらい・・・ あっ、カメラの電池が↓↓・・・
わるいけど、カメラの電池交換してくるからちょっと待っていてくれ
「え” ここで・・・」 そう、そこで 待っててね~。

えらいぞ~ 「へっへへ・・・ 」
そのまま待て~。 向こうから呼ぶまで マテよ~。

よ~し、コイ!

ハイ、そのまま マエへ~~。 「行きますよ~。こうなりゃもう・・・」
「風、ちょっと強くないですか~」 ガンバレ~!

「あ~ 来てしまった・・・ こんなところまで・・・」 ガンバレ~~~~

ん~、なかなか 慎重な歩行。 安心安心。

「たいしたもんしょ」 えらい、エライ、偉いぞ~~~。

もう一息だ、それいけゴーゴー!
チャンスは、やや身を低くするような姿勢でたんたんと歩いて行きました。
一見、腰が引けているように見えますが、先行して歩くので、揺れや横風に瞬時に対応できるるような態勢のように感じました。
それでいいのだ~ Good Boy!
ようやく着いた畑薙大吊橋。
しかし… 歩行用の板が鉄板になっていて幅もけっこうあります。数年前までは幅20cmほどの木の板であったことが他の記事に載っていました。

安定感ある歩行用板は悪いことではないのですが… 「ちょっと残念!」でした。

吊橋のたもとの標識に「平成元年3月25日… 幅20cm」となっていますが、実際には30cm以上あります。
実はこの吊橋、ず~と昔からあって、私には思い出深い記憶の橋でもありました。
それは若かりし学生のとき… ちょうど今頃の季節… 1972年11月22日のこと。
大きな荷を背負い、この橋を渡り上河内岳~聖岳に向かう途中でした。
そのときの模様(山行記録より)
吊橋着 10:59 吊橋を渡る。まことに長い上、風でかなり傾いでいる。
渡木もいくらか壊れかけているのがあって、かなり不安定である。
ひたすら足元を見、両手をワイヤーにかけながら進んで行く。
途中まできたところ急に風が強く吹き出し、橋全体あおられて、姿勢が斜めになって動きがとれなくなる。
じょうだんじゃない。はるか下は青緑の水面。
やっと風がおさまって、なんとか渡り終える。
こんな橋なのに4分以上かかってしまう。
対岸でザックを降ろし、弁当のサンドイッチを出す。日差しがあり風も少なくホットする。
弁当を口にしようとしたとき、いきなり中型の犬2匹が上からおりてきて、
ジロッとこちらを見て、そのまま吊橋を渡って行ってしまった。
その渡り方、実にけたたましく音を立て、ものすごい速さで進んでいったのである。
よく板を踏み外さないものと感心する。
渡り終えるのに1分かからぬ速さであった。
現在よりも幅のない板のかかっていた吊橋を… 犬が走り去って行った強烈な印象。
あの犬はいったい 何だったのだろう…。
ということで、私にとってこの吊橋は犬と縁のある橋でもありました。
実践 大吊橋渡り

出だしは・・・ 普通ですが・・・ 先が長いです。

今回、チャンスを待たせて、若いゴールデンを先に連れて渡ることにしました。
はじめのうちは藪の上を進みますが、だんだん眼下が透けてきます。

ちょっと… 腰が引けてしまいました。

励まして、大丈夫、大丈夫!
とはいえ、この高度感…
しかし、これほどの高度になると犬はあまり実感しないのかもしれません。

ほら、この通り。 落着けば… 大丈夫。
対岸まで不安なく、たんたんと歩いて行けました。
(つづく)
畑薙大吊橋へ
井川湖から大井川に沿って再び長い山道を北上していきます。
富士見峠から約1時間走り、ようやく畑薙第一ダムが現れました。

まだ紅葉の一部が残っている畑薙第一ダム。左上の山は富士見峠からも見えた上河内岳です。
目的の畑薙大吊橋はここからさらに4kmほど奥にあります。
車は南アルプス(赤石、聖岳など)の登山基地となる駐車場まで入ることができます。

駐車場に車を置き、吊橋のある場所まで林道を歩きはじめます。

ここを歩くのは… もう30年以上昔、年末の聖岳に登って下山した時以来です。そのときは、ダムの一角で天泊し、翌日バスの通っている赤石温泉まで下りました。
それよりさらに何年か前、やはり聖岳から下ってこの林道を歩きましたが、ちょうど紅葉の真っ盛りでとてもきれいだったことを覚えています。
なごり紅葉
燃える紅葉の時期は既に去っていましたが、奥大井に続く山にはまだなごりの紅葉がたくさん残っていました。

限られた紅葉でしたが、天気が良かったせいもありきれいに映えていました。
落葉し、葉っぱのない木々にも、少し前までは彩葉がまとわれていたことでしょう。

黄色が主体ですが、なかなかのものです。

林道沿いの紅葉も、陽が当たって輝いていました。

大吊橋まで、駐車場から約3kmの道を進みます。

吊橋が見えてきました。

もう少しです。 紅葉の最盛期ならと… ちょっと悔しい眺めです。

やっと着きました、畑薙大吊橋。
ここは本来、茶臼岳、上河内岳への登山口なのです。
(つづく)
富士見峠
安倍川から大井川に抜けるためにはその間の大きな尾根を越えなければなりません。
安倍川を離れて約45分後、富士見峠に着きましたが・・・。
そこに着くまでに何度か富士山の姿を見れたのに、「富士見」峠からは深い木立の合間からわずかに見えるだけでした。

チャンスの後ろの林間から富士山が見えてはいるのですが・・・。
冷たい風が強くなり、チャンスの正面に吹き付けます。
耳もたなびき、開いた口は強い風で・・・ 笑っているみたいです。
富士見峠の西側駐車場から北側の展望台から、南アルプス南部の山々が見渡せました。
眼下には大井川をせき止めてつくられた井川湖(ダム湖)の一部が見えます。

大無間山の山塊がどっしり構えていました。左から大無間山南に延びる尾根のピーク(1990m)、大無間山(2329m)、小無間山(2150m)。
小無間山右奥に見えるのは、上河内岳(2803m)と北に続く聖、赤石岳(下の写真)です。

南アルプス南部の高峰もよく見えました。
左から、上河内岳(2803m)、雲間に聖岳(3013m)から奥聖岳~東に延びる尾根、赤石岳(3120m)、荒川三山の前岳、中岳、大きな山容の東岳(悪沢岳)。
手前に横たわる尾根の右の一角の山は、青薙山(2406m)のようです。
このあと、私たちは上の写真の上河内岳と青薙山の間の谷間、大井川上流に向かうため富士見峠をあとに井川湖におりて行きました。
(つづく)
チャンスを対岸に待たせて、若いゴールデンを連れに戻りました。
吊橋とはいえ、下が透け透けに見えるものではないので、初めての吊橋でも怖がったりということはありませんでした。

ほら… このとおり。吊橋の上でも問題ありません。
対岸に渡りUターン、チャンスを先に歩かせました。


チャンスと若いゴールデンを橋の途中に待たせて、対岸からくるGシェパードを待つことにしました。

こんな感じです。

このGシェパードもまったく不安なく歩けました。

さらに、2歳のゴールデン(♀)は、ハンドラーを先導するかのように積極的に・・・。
後から来るハンドラーをバックに、「座れ~マテ」。
吊橋入門コースを終え、長大な吊橋のある大井川を目指して安倍川を後にしました。
まずは、うねうね続く長い山道を峠まで登ります。
次回はその峠にて・・・。
捜索犬の吊橋体験は、シリーズ吊橋で紹介しましたが、今回はその吊橋体験強化訓練を目的にツアーを企画しました。
日程の調整がなかなかつかず、ようやく決めたのが「夜行日帰り強行軍ツアー」です。

15日未明、前泊者を含めて4人5頭が東名高速「日本平P」に集合。
昨日までの雨天とうってかわっての「うれしい天気!」
ゴールデンゲートブリッジ
今回の参加犬は、チャンスを除いて吊橋経験がなかったので、まずは安倍川に掛かる自称「ゴールデンゲートブリッジ」から始めることにしました。
静岡ICでおり、安倍川上流に向かいました。
その橋は… 茶畑をバックに朝日を浴びて輝き出していました。

まずは…

吊橋体験強化訓練参加犬たちの記念撮影。

2歳の若いゴールデンと3歳のGシェパードが渡っていきました。しばらく置いて、チャンスと行きます。
多少揺れますが、両サイドに網がかかっていて先に行った犬に不安感はなかったようです。
吊橋入門コースの一つとして「いい橋」に間違いなさそうです。

朝露で歩行板が濡れていて、ハンドラーにとってはちょっと滑りやすい状態でした。

今日の安倍川は、昨日までの雨のせいか濁っていました。

このあと、チャンスを対岸に置いて・・・
若いゴールデン(♂)を連れに戻りました。
捜索犬不断の訓練 091108 その3
さて… 再び チャンスの出番です。
「どこだ、どこだ~」 「この向こうから臭うぞ~!」
「入れるところはどこだ~」 「え~い、邪魔くさい!こんなも~ん」
「あれ~? どこだ~」 「わかった!・・・ このへんだな!」
「やっぱり!ここだ~」 「はやく くれ~!」
「ワン(くれ)、ワン(くれ)、ワン(くれ)、ワン(くれ~~~)、ワンワンワン・・・・・・・」
「麻巻き ゲ~~~~~ト!」
「よっしゃ~、次の方どうぞ~」
次の方
次の方は、Mシュナウザーです。
鼻の感度がよくて、経験豊かなこのご婦人、身のこなしも軽く「臭いをとらえ」さえすれば、なかなかの仕事ぶりを
披露してくれます。
その仕事ぶり、観覧席のチャンスはどう思って見ているのでしょう…。
さて、お待たせしました吊橋ツアー模様・・・ 次回よりアップです。
捜索犬不断の訓練 091108 END
捜索犬不断の訓練 091108 その2
上からしか近づけないBOX
訓練経験豊かな犬、もしくは豊かになりつつある犬に対して、
「より強い臭い」へ近づくためには、そして「いいもの」を手に入れるためには、
箱の上に登らないとそれが達成できない…
という設定をつくってみました。
パレットフェンスの外から捜索させますが、臭いを求めて中に入っても感じる臭いに近づけません。
ヘルパーの臭いは、主にBOX上部から出る状態なので、犬は探しながら「上の方」を感じています。
経験豊富な犬は、そのための方法を考えどこからか登ろうとします。
登ろうとする位置に臭いが流れているとは限りませんから、たとえ臭いが薄くなっても登って探そうという意識があれば
フェンスの弱点を探して「迂回」するのと同じように、行動し、目的の臭いを探し当て、結果的に「ほしいもの」をゲットすることができます。
その経験は、「探すためにしなければならない行動」の学習の一つをしたことになります。
若いゴールデン、フェンスの外から臭いを感じて、中に入ることはできましたが、まだ十分濃い臭いでないところ(臭いが
出ているところから離れた位置)で咆哮を始めました。
ここで安易に誘ったり誘導することはしませんでした。
どうしたら「もっと強い臭い」のところに行けるのか…
犬に考えてもらいます。
すると再び「臭いの流れてくる方向」を見出すために動きますが…
背を伸ばして臭いの出てくる部分を探り、再び吠え始めました。
決して間違えではありません。
ただ、この犬は意欲、持久力があるので「いいもの」をもらうために、もう少し努力してもらいます。
ほんのちょっとの行動(登るという)で、それができることを実感してもらいます。
登ることで、より強く、明確なヘルパーの臭いをとることができ、確信の上、自信をもって吠えることができるのですから・・・。
最終的には「より濃い臭い」をしっかりとって、しっかり吠えることで、「ほしいもの」をゲット。
頭を使って、身体を使って、できるだけ近づいて吠えないと「もらえないんだ」ということを犬が感じ、積極的に、
かつそれが当たり前にやれる「意識」として育ってほしいと… 願っています。
去る11月8日、稲城市の防災訓練に参加してきました。

例年行っている地域的なものと違い、5年に一度行われるという比較的大規模なものでした。

場所は市内多摩川の河川敷。

倒壊家屋及び土石に埋もれた自動車からの救助救出訓練会場の様子。

そろそろ待機の時間です。 「へらへらすんな~!」

各機関の車両が訓練の進行の順に待機します。
今回捜索犬は、赤バイ隊員の報告と要請を受けてから出動することになっています。

待機から出動まではかなり時間があって… こういうとき、犬はいつもモテます。

擬似被災現場に車で乗りつけ、チャンスと黄ラブが捜索に入りました。

擬似倒壊家屋内の生体(要救助者)の臭いをチェック。

捜索犬の反応(告知)を見て、「倒壊家屋内に要救助者がいる」旨を報告。

レスキュー(特別救助隊)の活動で救助、救出作業が行われ、見守ります。
要救助者が救出され、救急隊員に引き継がれて搬送、我々捜索犬も擬似被災会場を後にしました。

多摩川を使って、水難救助訓練と、中洲に残された人を救出するヘリ救助訓練も行われました。
吊橋ツアー その1
天気が回復した11月15日、静岡まで行ってきました。
そこは…
山奥の湖の先、両岸をつなぐ吊橋のあるところ。
ここは…
知る人ぞ知る畑薙大吊橋(約182m)です。
くわしくは、追ってまた。
雪崩事故を防ぐための講習会 募集中 (関東版)
雪崩事故に遭わないための「地方講習会」案内と募集です。
一泊二日の雪崩事故防止のための入門講習会です。
雪崩事故で悲惨な「死」を招かないよう… 雪崩の本質と事故の教訓を学習し、スキルを身につけましょう。
全ての雪山愛好者に受講してほしいと願っています。
山岳会所属の有無に関係なく、さらに雪崩等の雪山捜索を考えている捜索犬関係者でも、あるいは一般のスキーヤーや
スノーボーダーの方も、雪山に入ろうとする全ての方に受講いただけます。
よりしっかりと本格的に知識と技術を会得したい方は、全国雪崩講習会(前記事)に参加しましょう。
関東ブロックの基本クラス①受講をして全国「基本クラス」、基本クラス②を受講して全国「中級クラス」を受講することもできます。
2008年及び2009年の講習会の様子 → 雪と雪崩と気象
関東ブロックとなっていますが、関東以外の方でも受講できます。
詳しくは、以下宛お気軽にお問合せください。
日本勤労者山岳連盟事務局 フリーダイヤル 0120-44-2742 または、TEL 03-3260-6331 へ!
雪崩の危険を回避し、雪崩事故に遭わないように雪崩講習会を受けましょう。

雪崩事故で悲惨な「死」を招かないよう… 雪崩の本質と事故の教訓を学習し、スキルを身につけましょう。
全ての雪山愛好者に受講してほしいと願っています。
2008年及び2009年の講習会の様子 → 雪と雪崩と気象
主催は日本勤労者山岳連盟 中央登山学校ですが、所属の有無に関係なく、また山岳会に入っていなくても、
さらに雪崩等の雪山捜索を考えている捜索犬関係者でも、あるいは一般のスキーヤーやスノーボーダーの方も、
雪山に入ろうとする全ての方に基本クラスは解放されています。
別に「地方講習会」もあります(次の記事)。
「とりあえず」という方は、地方講習会を受けてみることもできます。
以下宛お気軽にお問合せください。
日本勤労者山岳連盟事務局 フリーダイヤル 0120-44-2742 または、TEL 03-3260-6331 へ!
捜索犬普段改め不断の訓練 091103 その9
11月3日に行った不断の訓練も終盤。
あれこれやったGシェパードも不安定台座でゆったり(?)休止。
睨めっこ告知
普段の訓練ではやることのない「試してみよう訓練」を行いました。
それは、捜索発見されるヘルパーが「犬を見つめる」「睨みつける」ような設定です。
若い犬や、全くそういう経験をしたことのない犬の場合、吠えようとする犬を見つめたり、睨んだりしていると
吠えられないことがあります。
どんな状態でも吠えられること、そんなことを行ってみたところです。
犬の防衛作業では、ヘルパーが犬を睨みつけている状態で吠え続ける(禁足咆哮)や、睨みつけるヘルパーの
袖を咬み続ける、といったことが行われます。
似たような設定で、「より芯の強い」犬づくりにつながるかも… と期待しますが…。
とはいえ
一生懸命吠える垂れ耳ゴールデンも、オズの魔法使いに出てくるライオンのようです。
捜索犬不断の訓練 091103 END
11月3日のメニューは盛りだくさんでした。
次は・・・
家屋進入捜索
訓練用の小屋を使って時々やるようにしている訓練の一つですが、今日は今までやったことのない犬を中心に
試してみました。

このゴールデン、はじめ小屋から外に漏れる臭いを辿り、写真小屋の裏手に何度か回り込みました。
小屋奥に潜んだヘルパーの臭いが、隙間だらけの小屋の裏手から明確に出ていることは確かです。
しかし、もっと確実にヘルパーへ近づかなければ「もらえるもの」も、もらえません。
入り口が塞がれているようで、実は入れることを学んでもらいます。 それさえわかれば・・・

初めての「塞がれたような」入り口体験は、若い犬にとってはまだちょっと・・・。
はやり、自分で入って行けることを学ばせ、自信をつけていけば・・・ 「できるんです」

意欲の強いGシェパでも、初めての「塞がれたような」臭いの出処には躊躇するようです。
それでも、「どこか入れるところはないか」という意識が強ければ・・・。

潜り込む、飛び越えるなどの動作を駆使して、ヘルパーの近くに行き着いてくれました。
また工作!

何をしているのでしょう・・・。
チャンスの番、というので簡単には入れないよう、また工作をしているのです!

屋内からの臭いをとって、入ろうとしますが、入れそうなところが見つかりません。

何度も入ろうとしますが、跳ね返されるように、また違うところを・・・。
しかし、かの強引さで潜り込むようにして「入れてしまいました」。
まもなく・・・ ワンワンワン・・・
めでたし、めでたし
捜索犬普段改め不断の訓練 091103 その6
内から外へ
先ほどまでやった捜索は、フェンスで囲われた中にヘルパーの潜むBOXがありましたが、
今度は全く逆の設定で行いました。
囲われたフェンスの中から、外に置かれたBOXに潜むヘルパーを特定させます。
風の流れで、臭いを感知しますが・・・ その方向には行けません。
まだ若い犬は、臭いを感じてそれ以上行けないところで吠えてしまうことがあります。
無視して勝手に吠えさせておきます。発臭源から離れているので、明確な臭い、継続的な臭いはきません。
断片的に、断続的にしか臭ってこないはずです。
すると、犬は考えます。そして、また探り、行きたいところへ行く道を探します。
直接臭いの来ていないより風下に迂回して、脱出経路を見出し、臭いの流れてくるところへ・・・。
これも、探し求めるために「頭を使わせる」訓練のひとつです。
チャンスの場合は・・・
頭を使う前に、身体で勝負するところがあります。
フェンス内の捜索と同じように、フェンス外へ行くための「どこか」を探し回りました。
「ここだ!」という場所を見つけて・・・ 飛~んで 行きました。
吠えて、吠えて、吠えて、また吠えて・・・
う~んと吠えてから、う~んと遊んでもらいました。
よかった、よかった。
さて、再びチャンスの番ですが・・・
慣れ親しんでいる場所なので、その都度「何か違うこと」あるいは「やったことのないこと」「試してみたいこと」等々
考えながら行うよう心がけています。
とはいえ、皆さんとの流れの中で短時間にできることは限られています。
ということで、

捜索開始の指示が出るまで離して待たせ・・・ ハンドラーとしての私はより客観視できる場所に。

遠隔で指示を出しますが、この場合は既に臭いをとっていて、探すべきところはチャンスもわかっています。
しかし、容易に発臭源に近づくことはできません。また新たなバリケードが・・・。

身体能力的には越えられそうなところはいくつもありますが・・・ 「飛び越しゃいい」と単純には思考しないようです。
写真では「行けそう」に見えるところも、けっこう意地悪くなっています。

越えようと何度も探り続けます。L字に組んだパレットを補強する斜めのたる木も、乗り越えようとする犬にとっては嫌な存在のようです。

ついに「登攀ルート」を開拓! 登り上げました。
一見やさしそうに見える「壁」ですが、凹角状のところを登ると行き詰まり、右にパレットハングが・・・。
うまく移行してパレットハングの上に登り上げましたが、それを予期してのルート判断でしょうか?
とすれば・・・ なかなかのクライマーぶりです。

そして、目指す目的物を得るために、発臭源に到達!
めでたし、めでたし。

先ほど登ったルートです。
一見やさしそうな斜めの斜面ですが、その上を覆う「パレットハング」。
何度か覗き込んでいましたが、登るためのルートを考えていたのでしょうか・・・。
チャンスも、ちょっとは「頭を使ってくれる」ようになり・・・ 少し安心しました。
捜索犬普段改め不断の訓練 091103 その3
多くの場で自信を
基礎強化トレーニング中の犬にも、できるだけ多くの体験をさせていく必要があります。
「できなかった」こと、「苦手な」こと、「不安な」ことを一つでもなくしていき、あるいは自信をつけさせていくことが大事です。
ということで
「臭い感度」はバッチリの若いゴールデン、感じる臭いの元に近づくためには「意地悪な弱点」を越えなければなりませんが・・・。
意識の中にまだ不安があって、行きたいのに行けません。
行かせるように促してやります。そして、「どうってことないジャン」を気づかせてやれれば、次につながります。
中に入れば、いつものBOX。ただし、囲いの中なので、再び「探る」意識が必要です。
特定できれば・・・ いいこと、楽しいことが待っています。
もう一度、囲いの外から出してみれば、先ほど躊躇した「弱点」を自ら越えていきました。
こんな単純なこと(人からみれば)でも、犬にとっては「心の中の乗り越え」が必要な場合もあります。
そして、何度か繰り返し、しっかりと強化してあげることが大切です。
障害を押しのけ潜りこむ動作
次は、おっとりタイプですが「真面目に探す」ゴールデン。
意欲的で激しい動きは見せませんが、探す臭いを求めて坦々と作業をしてくれます。
挟むように塞いだパレットの隙間を押しのけるようにして身体をねじ込み、中に入りました。
飛び越えるという激しい動作ではありませんが、押しのけてなんとか入り込もうとする動作も、
それなりの「意欲」がなければできません。
がむしゃらに押しのけたり潜り込もうとするのは危険ですが、写真のような動作は評価できます。
そして、目指す臭いの元に近づき、特定。
この犬、ゴールデンではあっても、元「難しい犬」の部類でした。
しかし、ハンドラー(飼い主)と捜索犬関係者の努力で、「しっかり・じっくり・あきらめず」の捜索作業を行うようになりました。
捜索犬の世界は、広く深く終わりのない世界。
だがしかし、成長させるも成長させないも・・・
一番の影響はハンドラー(飼い主)にかかっています。
下の写真は、3BOXの設定を終えたあと、チャンスに囲いの中から3BOXの一つに隠れたヘルパーの臭いを
探らせてみたところです(2枚の写真合成)。

パレットフェンスの隙間から風上(写真奥)の臭いを感じて、右往左往しながら「どうやっていこうか」考えているようでしたが・・・。
フェンスの弱点(?)をとらえて「エイヤー!」ってな感じで、飛び越えてしまいました。
ところで、本日の訓練設定状況は・・・
こんな感じです。
この設定をまだやっていなかった犬から始めました。
臭いを感じ、その臭いを探り、近づこうと「入れる場所」を探し続けます。
経験の浅い犬には、風下側に「進入可能な塀の弱点」を設けてやりますが、意欲、持久力の強い犬には
それなりの困難性を与え、風下側の「塀の弱点」はつくらないか、より難しくします
上のゴールデンの場合は、写真左にある↓が塀の弱点です。
チャンスには、次の出番まで、また見学席に居てもらいます。
次はGシェパード。この犬も初めての設定ですが、かなり強い意欲の持ち主なので簡単には入れないようにしました。
臭いを感じ、なんとか塀の中に入ろうと、入れそうなところをあちこち探し回ります。
上は2枚の写真の合成ですが、背丈の高い犬は、このように探って「臭いを囲っている構造」を3次元的に認識することが可能に思われます。
風下の「この辺を突破したい」から、「この中に入りたい」という意識ができれば、臭いの強い弱いに関係なく「入れるところを乗り越える」ことを考えるでしょう・・・ 多分。
そして、超えられそうな位置(風上側)を見つけ、飛び越え、臭いの元(BOX)を特定しました。
こんな捜索の模様を・・・ チャンスはじっと(?) 見ていました。
はたして、他の犬を見ていて「勉強」してくれているのでしょうか?
ああ・・・ でも
もしこうやって、他の犬の作業を見てどんどん勉強、学習してくれたら、どんなにか楽なことでしょう・・・。
捜索犬普段改め不断の訓練 091103 その1
強風下の臭い
強風下の臭いは、乱流で激しく分断、分散されていきます。
煙やチリが強い風で掻き乱されている姿を想像するとイメージできるかと思います。
そこにまた、いろいろな物(障害物)があれば、臭いはさらに複雑に分散されてしまいます。
そんな状態の中で、経験の浅い若い犬は、臭を「感じた」と思えば「見失う」ような状態に惑わされ、なかなか特定できないことが起こります。
臭いの出処を探り、鼻を近づけて嗅ぎ取る意識が強くなれば、経験とあいまってその複雑な臭いの動きを上手に辿ることができます。
11月3日の訓練場の午前中は、まだいくぶん風が強かったので、2日前にうまくいかなかった若い犬を強化するねらいの訓練から始めました。
ただし、いわゆる強風といえるほどの強い風ではありませんでしたが・・・。
3つのBOXを置いて、その一つに(風上側)にヘルパーを隠しました。
経験ある犬も最初は風下にあるBOX周辺で臭いを感じ、気にするそぶりを見せますが、ほどなく風上のBOXからの臭いであることを特定できました。
「あわてんぼう」犬には、エリアを狭めて、臭いをとらえやすくさせますが、どうすれば見つけて「いいこと」にありつけるか、犬自身に気づかせれば一番です。
その点、目的意識が明確で意欲の強い犬は、事も無げに「特定」してくれチャイます。
若く経験の浅い犬にも、迷ったときにはうまくヒントを与えられるように、風上のBOXは仕掛けBOXになっています。
基本は「犬自身に気づかせる」ことですが、最後は成功させて自信をつけさせてあげることに変わりはありません。
この日の風の強さはいまいちでしたが、風の強いときは「めったにできないチャンス!」としてこのような訓練をするのが一番かもしれません。
もちろん、これだけではありませんが・・・。
チャンスにも行いました。
単純でも基本的な訓練はおろそかにしないように心がけています。
捜索犬デモ 091101 in 町田
捜索犬の試験開場から、デモンストレーションを頼まれている会場(町田市)まで40kmほどありました。
今回は、市内にある団地の自治会が防災意識向上のために、消防署、消防団、地域防災会などを中心に、炊き出し、非常用トイレの組み立て設置、
阪神淡路震災体験談などを行ない、その中で災害救助犬の活動なども知ってもらおうという企画のものでした。
捜索犬デモまでまだ時間があり、参加犬たちには・・・ 「もう少しお待ちください」
いつものように、犬に指示して探す作業をさせるまで、どのようなこと(訓練)が必要かを説明デモしたあと
捜索する様子を簡易な擬似倒壊家屋を使って説明します。
捜索だけでなく、言うこと(指示)を理解できる犬の愛らしさ素晴らしさ、同時に「特別な犬」ではないこと、家庭犬が「いざというときに役立つ」頼もしさ・・・
そんなことをも知ってもらう場にもなります。
梯子の上で渋滞中・・・
自治会主催の中のデモで、防災を意識した方々の集まりであったため、皆さん熱心に、関心をもって見てくれました。
同じデモでも、やはり・・・ 問題意識のはっきりした方々の前でのデモは「張り合い」があります・・・ ネ。
お疲れ様でした!
犬と人とのいい関係&捜索基礎試験
犬と人とのいい関係を見るもの(服従作業)&基礎的な捜索作業を見るための試験が、先日(11月1日)行われました。
この2月から訓練を始めたゴールデン(当ブログで時々お目見え)もチャレンジしましたので、その様子を以下に。
他の犬(このゴールデンもまだ若く10ヶ月)の様子を見て、イメージをわかせます。
若い黒ラブもチャレンジ中。
いよいよ出番。緊張しすぎず、楽しそうに!
犬はハンドラーの緊張や怖い顔をすぐに読み取ります。
したがって、楽しそうにやれることが一番です。
さてさて・・・ 残念ながら、この後に行われた上のランクの試験、捜索の試験の模様はありません。
いえいえ!
試験に落ちたのではありません。単に記録する私が午後から行われる捜索犬デモンストレーション(別の場所)に移動するためこの場を去ったためです。
写真上のゴーデン、結果は「人と犬との良い関係」テストは2段階クリア、「捜索の基礎」テストは1段階クリアしました。
捜索2段階目は、若い犬、まだ経験の浅い犬によくみられる「不安感」が出たようで、惜しくも一歩及ばなかったようです。
実は、この日午後から強い風が吹きました。
当日の天気図(気象庁発表 9時、15時)をみると、寒冷前線が南下中。午後はその前線の影響で強い風が吹き始めました。
翌日は強い寒気を伴った冬型気圧配置。木枯らし1号が各地に・・・。
試験の始まったころ(9時)は穏やかな天気でしたが、午後の強い風は、木立を揺るがせ、風音を立て、捜索BOXからの臭いも・・・。
強い風は臭いを掻き乱し、分散させ、一時的に見失わせたりすることが多く、
経験の浅い犬にとっては不利な条件だったことは確かです。
そのあたり、次の次のブログにて。
捜索犬普段の訓練 091031 その3
いい関係づくり再び
捜索における犬と人の「互助関係」もいい関係ですが、併行して行う「上下関係」もいい関係づくりに欠かせません。
おいおい、こっち見てどうするんだ! 見るのはご主人様だろ~。
「は~~~い!」
「こんなの簡単!得意だも~ん」
てなこと言って、試験では緊張して「できない」なんてこと、若い犬には・・・ よくあるんです。
どんな状況でも、意欲的にやれることが大事です。
板壁持来の様で…△
前にも紹介しましたが、チャンスの板壁持来… まだまだ、自主的とは言えません。
自ら意欲的にやってくれなければ・・・。
写真だけは! それらしいカッコにはなっていますが・・・。
さて、そろそろ
本日の訓練もそろそろおしまい。
そこで、マテ~。銜えて、マテ~。 「くゎふぃこぉまりわした」
胸のあたりに散りばめられた細かいものは?
そう、この時期長毛犬にとって煩わしいのは、捜索中に付く草の種子です。
終わるまでじっと待つのだぞ。
捜索犬普段の訓練 091031 その3 END
捜索犬普段の訓練 091031 その2
壁に囲われた中の臭い
パレットの壁に囲われた中のBOXに潜んだヘルパーの臭いを、どのようにとらえて、どのように探り、どのようにアプローチするか・・・
チャンスにやってもらいました。指示は最初の方向のみです。
この日の午後、風は写真左から右方向に(東よりの風)ゆるく流れていました。
臭いをとらえても、パレットの囲いのせいでBOXからの弱い臭いは複雑に分散していると思われます。
しかし、周辺を行き来、移動する過程で、塀の向こう側(内側)からくることを犬の鼻はすぐに理解します。
臭いの元に「近づきたい!」という思いに対し、塀はそれを邪魔します。
しかも! 先ほど訓練したときのような「塀の急所」はなくなり、さらに多くのバリケードがあらたに加えられていました。
チャンスのために! と・・・。
壁の周辺を行ったりきたり、中を覗きこみ、入れる場所を探し回った末に・・・
登るように飛び越しました。
飛び越えられる高さのところはいくつかありましたが、足がかりや、壁の先の様子がわからないと、単純には飛び越えようとはしません。
一見無謀のように見えるチャンスでも、「これなら大丈夫!」と判断できる「ギリギリの線」を、多くの経験の中から学習しているようです。
ようやく壁を乗り越え、臭いの元(BOX)に辿りつき、思いっきり吠えることができました。
めでたし、めでたし。
捜索犬普段の訓練 091031 その1
新しい壁
実は、透け透けのパレットの長い塀をつくって、風上に隠れたとき、犬が「考えて」どのような行動をとるか試すためのものです。
ところが、残念ながら(?)・・・ たいして迷ったり、戸惑ううことなく・・・
犬自ら、距離のある左右どちらかから簡単にクリアして臭いのもと(ヘルパー)に到達してしまいました。
そこで今度は・・・
閉じた壁
横に長い有限の壁(塀)ではなく、無限に閉じた壁(塀)では・・・ と臭いの元(BOX)をパレットの塀で囲ってみました。
囲いの一部(風上側:風のつくる渦等によって断片的あるいは僅かにしか臭いのとれない位置)には、頭と身体を使えば入れる「やさしい急所」がつくられています。
経験の浅い犬も学習
まだ経験の浅い犬でも、風下からとらえた臭いを追って塀の周囲を行ったりきたりしながら、入れるところを探します。
なかなか入り口を見つけ出せない犬の場合には、ちょっとしたヒントも必要ですが、できるだけ自ら探し、辿らせるようにします。
求める臭いをはっきりさせるため、とくに若い犬には「臭いの出口」を大きく開いたり、「臭い」そのものを出してあげることもします。
求める臭いを探り、近づくためには「迂回」したり、「乗り越え」なければならない「場」はたくさん存在します。
そんな場面を想定して、学習させるための訓練の一つです。