舞うときと舞わないとき
高山蝶の多くは日の出ているときに活発に飛び回り、日が陰ったり、気温が低くなると飛ばずにどこかに潜んでいることが一般的です。
夏山でも、朝の気温は低く、ミヤマモンキチョウが飛び回るようになるのは太陽が大分高く上がってきてからです。
朝日は当たっているのにまだ気温が低いとき・・・

こんな姿を目にする機会を得ました。 朝日の当たる岩場に黄色いミヤマモンキチョウが・・・
そ~と 近づいてみると

岩にとりつき、翅を斜めにして日差しを浴びています。 Photo.1996.7.28 蝶ヶ岳
活動できるまで、体温を暖めているといわれています。
そして、活動できるようになると

蜜を求めて飛び回り、花に止ります。 Photo.1996.7.27 蝶ヶ岳

もちろんメスも、蜜を求めて・・・。 Photo.1996.7.28 蝶ヶ岳
そしてまた

オスとメスが飛び交う求愛活動も見られるようになります。 Photo.1999.8.9 蝶ヶ岳
そして再び蜜を求めて・・・

Photo.1994.7.17 常念岳
日が傾き夕刻が近づくと、飛ぶことをやめて休むことが多くなります。

這松帯は彼ら彼女らにとっては良い休息場、ねぐらになるようです。 Photo.1994.7.17 常念岳
日中でも、ガスが出て日が陰るとやはり飛ぶのを止めて、休む姿が見られます。

Photo.1994.7.17 常念岳
休んでいるときも撮影のチャンスですが、実はそこに近づくことが容易ではありません。
止まっている枝に振動を与えず、這松帯の中をそ~と移動することの難しさ・・・。
さらに、アプローチしている間に陽が出てきて飛び立ってしまう・・・ ということも。
自然の生き物に、こちらが希望するモデルを演じてもらうことは不可能です。
生きている姿、生きている行動、それぞれの自然そのままの姿をいかにカッコよく捉えるか・・・
体力と気力と意気込みと・・・
そしてそれに「運」が加わって成し遂げられる、ほんの「一瞬」の出来事、自然の中の生態切り抜き模様でした。