谷川岳雪中捜索訓練と年末年始の空模様
年末の29日と30日に行った谷川岳雪中捜索訓練は、28日までの悪天が去り、ちょうど冬型が緩んだ晴天と次の冬型が強まる前の2日間に行われました。
訓練としては恵まれた条件でした。
昨年の12月は、下旬になるまであまり強い寒気が南下せず、雪不足の様相を呈していましたが、26〜28日に強い寒気の南下と冬型の気圧配置で、一気に雪が降り積もるという結果を生みました。
この悪天下、山の遭難事故がいくつか発生しています。→相次ぐ山岳事故
昨年末も、急激な天候悪化と大雪による雪崩発生で、北アルプス槍平で死者が出ています。→槍平で雪崩
上空の寒気も去り、冬型が緩んだ29日は穏やかな晴天、30日は次の悪天(冬型)への前兆の暖気〜温度低下で、曇天(小雨)から小雪(時々薄日)になりました。
そして、31日から正月の3日にかけて再び強い寒気とともに冬型が強まり、大雪をもたらしました。
29日と30日の天気図(地上)では冬型がゆるんでいること、また徐々に冬型に戻りそうな様子を見ることができます。
谷川岳一帯が晴天に覆われた29日の地上天気図
上図左29日9時、右同15時
朝は小雨、後曇天〜小雪となった30日の地上天気図
上図左30日9時、右同15時 (気象庁資料より)
地上天気図は地上(海面)での気圧配置を示しているので、地上での天気の変化(流れ)や吹く風の向き、強さなどをある程度読むことができますが、上空の様子は高層天気図などを見ないとわかりません。
雪はいつどのくらい降ったか
冬型が強まるときは上空の寒気を伴うことが一般的です。年末年始の大雪が、上空の寒気とともに降ったことが、気象庁から発表されている高層天気図とアメダスのデータから読み取ることができました。
ただし、肝心な山そのものでの観測がされることはほとんどないため、まずアメダスで観測データのある谷川岳(1963m)周辺で、何時どの程度の雪が降ったのかを調べてみました。
新潟県と群馬県の観測地点は下図のようになっています。 (気象庁HPより)
ちょうど、谷川岳からみて日本海側(大雪を降らす雲がやってくる)北西側の湯沢(340m)と、山を越えて関東平野に続く南東側のみなかみ(水上)(531m)にアメダス観測点があるので、そこでの降水量(降雪の場合は溶かした水量で測る)と積雪及び気温をグラフにしてみました。
湯沢、みなかみの観測データのグラフから、12月26日から大雪となり、そのご断続的に28日まで降り続いたことが見て取れます。
そして、雪中訓練に入った29日が晴れ、30日の小雪から31日〜1月3日の大雪へと流れたことがわかりました。
湯沢と水上の間にある谷川岳など、上越国境の山々での実際の降雪はこれよりもずっと多く、そして天神平付近で行った雪中訓練場所のまだ十分にしまっていない積雪がそれを物語っていました。
大雪のときは、気象衛星の画像によく現れるように、日本海から次々と雪雲が押し寄せ、それが山にぶつかると大量の雪を降らせます。その状況は、湯沢〜谷川岳〜水上の標高変化を見るとイメージとして感じることができます。
大雪は寒気とともに
実際に観測された湯沢とみなかみでの降雪と積雪の変化から、その間の山での大雪の様子が想像できましたが、その結果が上空の寒気に伴って起こっていること下のグラフからよくわかります。
上図は、高層天気図から読み取った上空の気温の変化と実際の天気の模様を示したものです。
このグラフは、30日の天気が冬型になる前兆だったことも表しています。
30日は冬型が強まる前触れの天気
30日、土合付近では朝一時雨が降りました。9時を過ぎて雨は上がりましたが、通常氷点下が当たり前の朝の気温が+で寒さもいまいち。
上空に暖気が入っているため、谷川岳(1963m)より少し低い上空 1,500m付近の気温が0℃でした。天神平(1,300〜1400m)でも雪になるかみぞれになるか、といった状態です。
気圧配置が冬型になる前に気温が上昇していき、そして気温の下降とともに冬型が強まっていきますが、上空の気温変化はそれを裏付けてくれています。
30日朝9時と、午後3時の上空約 3,000m及び約 1,500mの気圧と気温を表す高層天気図をみると、前記した地上天気図ではわからない「寒気」が西から近づきつつあることがわかります。
この寒気の強さ(気温の低さ)で、また南下具合で今後強い冬型になり、そして大雪になるかがわかります。
果たして、31日から正月にかけて、日本海側の山を中心に大雪に見舞われました。


