消失点下部の積雪から解け出して崖下の沢に注いでいる水の臭いを感じての行動か、昨日の捜索エリアの積雪から解け出して崖下の沢に注いでいる水の臭いを感じての動作なのか… チャンスの行動をどのように読み取るかは判断の難しいところでした。
とにかく、消失点下部の積雪についての嗅覚捜索を進めることにしました。

崖縁から消失点に向かって、昨日行ったトレンチ(溝)を掘ることをお願いし、数本の溝ができたらチャンスに「怪しい臭い」がないか探ってもらい、その間捜索関係者には休んでもらいました。
反応の得られない状態で長く作業を続けることが多くなるため、終了間際に捜索関係者にお手伝い頂き、シグマチューブを捜索エリアの脇に隠し水難シグマを少しふりかけてもらいました。
もちろん、チャンスにはわからないようにして… 終了させる頃にそこに辿らせ反応させ捜索意識の持続を図ってやりました。

下部から一定のエリアを捜索し、そのエリアが終わったらその上のエリアにトレンチを掘り、再び捜索させる、ということを繰り返していきました。
掘り出した雪塊はトレンチの脇に積んでおくようにしました。雪塊にも臭いが留まっているかも知れないからです。
昨日の捜索では、掘り出した雪を川に流してしまいましたが、「臭いの残っている雪塊」が含まれていたかも知れないと反省。

トレンチを掘っている間、チャンスを休ませます。

トレンチ掘り(チャンス休憩)→チャンスによる捜索(捜索関係者休憩)→その上のエリアのトレンチ掘り(チャンス休憩)→・・・・ というような捜索方法で進めていきました。

新しく掘られたエリアを丁寧に捜索させます。


皆さんと休憩、エネルギーと水分補給。

何度か行き来させては臭いを探らせますが、気にする、スクラッチする、といった動作が現れませんでした。
昨日のエリアで行った捜索では、今日のエリア内の積雪由来の臭いを感じているのでは、と思いましたが、こちら側(現在)の捜索で気になる反応が出ないと、やはり川の向こう(昨日の)ではないだろうか… という気持ちが強くなってきます。
さらに、初期の捜索における川に向かった行動などを考えると…。
しかし、今日の捜索では消失点下部の積雪エリアで「反応がないか」確かめることが大事です。

消失点~下部積雪帯の捜索を終了下山。
時間があれば昨日のエリアを再度探りたい… という気持ちがありましたが、下山予定時刻が迫り終了することにしました。
発見へつながる「臭い反応」を得られず、残念な気持ちを抱えながら BCへ向かいました。
ベースキャンプには昨日私と一緒に入った2人が留まり、チャンスと私は一昨日に入った4人とともに下山します。
明日(5月2日)には新たに別の8人が加わり、捜索が続けられます。
連休中の捜索でも見つからないときは、再度お手伝いすることを約束し、皆さんとお別れしました。
しかし、翌日(5月2日)、ご遺体発見の報が届きました。
詳細と検証は後日また。